mixiユーザー(id:1471688)

2017年01月30日20:31

341 view

【美術】またしても今年のベスト10には入れたい「並河靖之七宝展 明治七宝の誘惑―透明な黒の感性」

皆様、お今晩は。東京都庭園美術館にて4月9日迄開催中の「並河靖之七宝展 明治七宝の誘惑―透明な黒の感性」に行って参りました。その感想です。

明治時代、輸出用美術工芸として人気を博した七宝。並河靖之(なみかわ・やすゆき、1845-1927)は、その中でも繊細な有線七宝により頂点を極めた七宝家です。没後90年を記念する本展は、初期から晩年までの作品を一堂に会する、初めての回顧展です。

京都の武家に生まれた靖之は、久邇宮朝彦親王に仕えたのち、明治維新後に七宝業に取り組み始めます。知識や資材が無い中、試行錯誤して技術・意匠の改良を進め、やがて内外の博覧会で成功を収めます。工房には外国からの文化人が多数訪れ、“京都並河”ブランドは新聞や雑誌を通して海外へと紹介されました。明治29年(1896)には帝室技芸員となり、当代一流の工芸家としての地位を確立します。大正期に入ると七宝業全体の生産額が落ち込み、並河も工房を閉鎖、その名は次第に忘れ去られて行きました。

しかし近年、明治工芸への関心の高まりに伴い再び注目が集まっています。細密な植線、豊かな色彩、四季折々の花鳥風月、そして研ぎ澄まされた透明な黒い釉薬―。類まれな技術のみに留まらず、洗練された感性に基づき制作された七宝は、100年以上の時を経てなお光を放ち、人々を魅了します。本展では、国内外の七宝作品に加え、下絵等の関連資料を通して、その全容を明らかにします。

去年の同時期に東京都庭園美術館にて開催された「ガレの庭」展同様に皆様が絶賛するだけの力と魅力を放っている展覧会です。
今回の展示でも思うのはこの場所は絵画を飾るのでも勿論良いのですが、一番輝きを放つのは各種工芸品を展示した時でありまして「場の力」と相俟って他の会場で展示されるよりも魅力が倍増しになることだって決して珍しく無いのであります。

今回の展覧会で驚いたことが幾つかあって、一つ目は「幕末・明治の超絶技巧」と言う括りで並河靖之単体の回顧展は今回が初めてだと言う事と、もう一つは上の紹介文に掲載されていますが殆ど独学で有線七宝の技を修得されていたと言う点であります。

今回は特別に世界随一の工芸品美術館であるヴィクトリア&アルバート美術館の協力も得て最初の大回顧展を彩ることに成功しております。

これから観る人へのアドヴァイスなんですが、最初から作品を見ないで新館第二室で上映されている11分の「七宝の作り方」の紹介映像を観てから展示室に入ってみて下さい。
実作者による作り手の苦労やどれだけ高度な技を使ってこれらのお宝が生まれたのかが解りますし、これを観てからだと作品の印象が180度とまでは行かないまでも今まで観てきたのとは全然違った見え方に成るはずです。


http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/170114-0409_namikawa.html

3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年01月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031