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2017年01月27日02:28

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今日のコンサート

今日は新日本フィルの定期公演@サントリーホールに行ってきました。

新日本フィルハーモニー交響楽団 第568回定期演奏会
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シャンソン「聞かせてよ愛の言葉を」(蓄音機での再生)
武満徹:
死んだ男の残したものは(1965)(オーケストレーション:山下康介)
「2つのレント」(1950)より第1曲(抜粋)
リタニ〜マイケル・ヴァイナーの追憶に〜(1989)
(ピアノ独奏)
弦楽のためのレクィエム(1957)
グリーン(1967)
カトレーン(1975・オーケストラ版)
鳥は星形の庭に降りる(1977)
「3つの映画音楽」(1994)より:
「ホゼー・トレス(1959)」より「訓練と休息の音楽」
「他人の顔(1966)」より「ワルツ」

大竹しのぶ(歌:死んだ男の残したものは)
木村かをり(ピアノ:2つのレント、リタニ、カトレーン)
崔 文洙(ヴァイオリン:カトレーン)
重松希巳江(クラリネット:カトレーン)
富岡廉太郎(チェロ:カトレーン)
大萩康司(ギター:カトレーン)
井上道義(指揮・お話)

昨年、没後20年を迎えた武満徹の主に1960〜70年代の作品を集めた「作曲家の遺作展」。通常のオーケストラの定期公演の枠を大幅に超えた井上さんならではの型破りな一夜でした。
歌あり、ピアノ独奏あり、弦楽あり、協奏作品あり…さまざまな作品を通して武満徹の音楽を解き明かしていきます。セットチェンジの間に井上さんが武満との思い出や作品について、家庭人武満の人となり(武満の長女真樹さんとの対談)などを縦横無尽に語るトークが入り、武満・井上ワールドが繰り広げられました。
1950年のデビュー作「2つのレント」を40年の時を経て再び世に問うた「リタニ」から出世作「弦楽のためのレクィエム」から始まる70年代までの作品は、武満が先鋭な研ぎ澄まされた音響を追求していた時期であり、不協和音のなかにハッとするような美しい響きが耳に飛び込んできます。
「弦楽のためのレクィエム」は今まで死者に捧げられた音楽だと思っていましたが、それは大きな誤解であったことがわかる演奏でした。これは生者のための「メメント・モリ」の音楽なのです。
「リタニ」も同じ傾向の作品ですが、「連祷」というタイトルの通り、より宗教的にストイックな音楽です。
オーケストラの音楽では武満がその音楽の創造の源であるドビュッシーやメシアンの音楽や現代美術から得たインスピレーションを美しい響きで表現しています。それに風や水といった自然な響きが加わって独特の浮遊感が生まれます。
それが最もよく表れたのが「グリーン」です。枯野からの再生、「嬰児(みどりご)」を意味するこの小品が自らの幼い娘さんと友人の子供たち、わけても「Pooh(プーさん)」と表現された大江光に捧げられていることがのちにその音楽的才能を見出だすことになるのです。
映画やジャズが大好きだった武満の映画音楽は、本当はこういうきれいなメロディを愛でた心根の優しき武満の素直な表現が見えます。

今日の新日本フィルと井上さんはそんな武満の音楽の諸相を余すところなく引き締まったアンサンブルで聴かせてくれました。武満の音楽へのイメージを大きく変える一夜になりました。

終演後、今日も素晴らしい演奏だった古部さんと一枚撮っていただきました♪
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