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2017年01月22日21:44

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「本能寺ホテル」【少しネタばれあり】

「本能寺ホテル」見てきました。
(※以下、少しネタばれがあります。それほど大きなネタばれはしないつもりですが読む場合は自己責任でお願いします)

最初に「本能寺ホテル」というと、実在の「ホテル本能寺」を思い出したのですが、エンドロールの「制作協力」(だったかな?)のところに、「法華宗大本山本能寺」の名前とともに「ホテル本能寺」の名前も出ていました。
やはり、ホテル本能寺もこの映画に何らか関係したようですね。

さて、本題に入ります。
ひと言でいえば素晴らしい映画でした。
感動でした。
それと、これまでのタイムスリップものの一般的なプロットを打ち破っているところが斬新でした。
未来から現代にやって来た存在を描く映画の場合ならあるんですが、過去にしかも事故でタイムスリップしたものは、たいてい「物語の当初でタイムスリップ→過去の時代で活躍→現代に戻って終わり」のパターンがほとんどですよね。
(「戦国自衛隊」のように、過去で死んでしまって終わりというのもありましたが……)
でもこの映画の場合、主人公倉本繭子(演・綾瀬はるか)はまず過去にタイムスリップしますが、すぐに現代に戻ってきます。
その後も過去と現代を行ったり来たりでストーリーは進んでいきます。
こういった点が新しいと思いました。

そしてタイムスリップものにつきものの「過去を変えてはいけない」だの「変えてしまった」云々も、この映画の場合もお約束として登場しましたが、「信長協奏曲」同様に、過去は変えるのですが、実は変わらないのです。
繭子が過去を変えてしまったのに、その変えたおかげで今我われが知っている歴史になったという点が、この映画でも一か所あります。
詳しくは書きませんが、ただその一点はこの時代の歴史に詳しい人でないとちょっと分かりづらいかなということでした。
ヒントは、物語が始まる前の最初のところの、中井貴一によるナレーションの中にあります。

この映画で描かれた信長は一般のイメージのような冷酷非道な人として書かれていますが、実際はそうではなかっただろうと思いながら見ていました。
この映画のように家臣団がピリピリして緊張の連続でいるのでは織田家はここまで大きくはなれなかっただろうと思います。
むしろ「信長協奏曲」のような、信長の周りで笑いが絶えない和気あいあいとした雰囲気の方が本当だったのではないかなって気もしていました。
ところがこの映画でも、ちゃんと人情味あふれる、庶民とともに歩む優しい信長もきちんと描かれたので安心しました。

乱丸役の(映画のキャスト表では定説通りの蘭丸になっていますが、実は乱丸が正しいのです)濱田岳も「軍師官兵衛」から戦国時代づいていますね。
でも繭子から「あなたは…家康?」と聞かれて慌てて否定していたけれど、「信長協奏曲」では家康だったくせにと思いました(笑)
乱丸といえば繭子も「イメージと違う」と言っていましたけれど、たしかにイメージはなよっとした美青年だったのでしょう。
でも乱丸は小姓です。小姓といえばいわばボディーガードのSPです。たいてい筋骨隆々とした腕に自信のあるような人が採用されたはずです。
(信長と乱丸のBLは江戸時代の創作です。その創作の中での故意のネーミングの「蘭丸」が今では一般化してしまっています。真田信繁が後世の創作物の中でネーミングされた「幸村」で有名になってしまっているのと同じです)
小姓といえば、乱丸とともに常に信長の近辺にいた黒人小姓の弥助は登場しませんでしたね。

本能寺ものの定番のセリフ、「敵は本能寺にあり!」もお約束どおりちゃんと出てきました。
(ところが実際はこれも江戸時代の創作の物語の中で初めて出てくる言葉で、当時の光秀がこのようなことを言ったということは状況的にあり得ないのですが)

しかし、これまでのタイムスリップものでは、タイムスリップする主人公は大抵が全くの歴史音痴というのが定番でしたけれど、この作品の繭子は大河ドラマもよく見ているとセリフの中でもありましたし、社会科の教員免許も持ってるくらいだからある程度歴史を知っている人でした。
その点も新しいと思います。

歴史的事実に関する突っ込みどころもいくつかありましたけれど、映画全体が素晴らしかったのであえて細かいことは書きません。
少しだけ書くと、信長は「お館(やかた)様」と家臣たちからは呼ばれていましたが、やはり「上様」でないとしっくりきませんね。
それと、これは見る前に公式サイト見ていたときから「この点は突っ込みどころだな」と思ったことですが、この映画ではやはり従来の定説通り、信長は本能寺という寺院に宿泊していることになっています。随所に仏像や、寺の僧侶も登場しました。
しかし最近の発掘で、実は信長は本能寺という「寺院」に宿泊していたのではなく、広大な境内面積を持つ本能寺の北東角の一角を寺から譲り受け、そこに自らの屋敷を新築していたのです。
それは35メートル四方のとても狭い敷地で、そこは堀や石垣で囲まれていたことが発掘調査で分かりました。(ちなみに本能寺の寺院の境内面積は140メートル四方)。
つまり信長は本能寺という寺院に宿泊していたのではなく、本能寺の境内の中に造った自分の屋敷に逗留していたのです。
ただ、そのへんはまだ諸説ありますので、この映画では定説に従ったのでしょう。

定説といえば、光秀の謀反の動機ですが、この映画ではそれには触れられていませんでした。
ただ、暗にほのめかされていたのはこれも従来通りのベタな怨恨説で、怨恨説はあり得ないというのが最近の主流なんですけれど……

そうそう、今回、近藤正臣さんが出演して、いい味を出していました。
でも近藤正臣さんは現代人側の役どころでした。
欲を言えば、近藤正臣さんに明智光秀を演じてほしかったなあと思っています。
かつて「国盗り物語」で明智光秀を演じた近藤正臣さんですが、はっきり言ってあのころは明智光秀を演じるには若すぎたのです。
今の近藤正臣さんがぴったりです。
老人すぎるのではないかと思う方もいらっしゃると思いますが、実は明智光秀は本能寺の変の当時、かなり老人だったという説も浮上しています。
定説では五十代くらいだっただろうといわれていますが、これも根拠はあいまいなのです。
「国盗り物語」といえばその作品で若い徳川家康を演じた寺尾聡さんが、「軍師官兵衛」で再び年取った家康を演じて好評でしたからね。

そういえば昔、「寺内貫太郎一家」というドラマで樹木希林さん(当時は悠木千帆)が若いのに老け役でお婆ちゃんの役をやり、沢田研二のポスターの前で「じゅ〜り〜〜〜」ともだえるシーンが印象的でしたけれど、今や本物の老婆になった樹木希林さんにあらためて「じゅ〜り〜〜〜」をやってもらいたいと思っている今日この頃ですが……ごめんなさい、話が全くそれました(;^_^A

話を「本能寺ホテル」に戻して、ラストがまた素晴らしかったです。
いくらなんでもここまで書いてしまったらネタばれすぎるので書きませんが、とにかくあの京都の映像は感動的でした。
そして繭子の将来の選択も……タイムスリップものでこのラストかとうなるくらい感動しました。
具体的には書きません。

ということで、素晴らしい映画でした。 
時間を気にさせないあっという間の2時間でした。

以上です。

ぜひ、見ることを進めします。
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