OVA「湘南爆走族5 青ざめた暁」を見ました。
この「青ざめた暁」は、原作でも屈指のシリアス編というかバイオレンス編で
湘南地区に攻め込んできた横浜ブラディヒールという暴走族と、湘南爆走族の抗争を描いた一大長編です。
原作の他の抗争劇が、直前で回避されたり、和解したりで、直接の暴力沙汰にならない事が多いのに対し
この「青ざめた暁」は、直接、ぶつかり合う、大掛かりな抗争を描いています。
今、OVAを、見返すと、原作の吉田聡先生は、極力、直接、人が人に危害を加える暴力描写を避けているというか
「小競り合いしてるうちに、交通事故を起こした」みたいな描写が多く、感心します。
特に湘南爆走族からは、先に手を出さない様にしてるのですが
「青ざめた暁」では、今まで湘南爆走族のライバルというか、喧嘩相手だった、権田くん率いる「地獄の軍団」が、横浜ブラディヒールにボコボコにやられた事で、湘南爆走族が立ち上がる、という展開にしています。
前に書いた通り、権田くんは読者から愛されるキャラクターなので、この展開は上手いと思いました。
あと原作の展開で上手いな、と思ったのは、敵の横浜ブラディヒールの描写で。
横浜ブラディヒールのリーダーが、事故で数年前に再起不能になってから、チームが拠り所を失って、迷走していくという描写にしています。
普通なら、リーダーがいて全国制覇を目指す、とかいう展開になると思いますが。
逆に、いなくなったリーダーの幻影を追いかけて、残された者が迷走するというのは、ちょっと押井守ぽくて、面白いなと思いました。
あとアニメ版ですが、面白い事に、原作のあちこちを削って、タイトにして、ポンポンポン、とテンポ良く話が進みます。
最初は、どのシーンを削ってんだろ、と思いましたが、キャラクターを削ってるんだ、と気づきました。
原作で、本筋に絡まないキャラクターはアニメでは消し、そのキャラクターまわりのシーンがバッサリ落ちています。
大胆な改変だなあ、と思いましたが、見た印象は変わらないので、正解だったのでしょう。
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