【首藤剛志 失恋三部作 その2】
○魔法のプリンセスミンキーモモ
第43話「いつか王子様が」
今日も困ってる人を助ける為、大人になって町中を走り回っていたモモは。
変身用ペンダントを落としてしまい、若いアニメーターのジョニーに拾ってもらう。
モモの故郷フェナリナーサでは、王族は、ペンダントを落とし、意中の相手に拾ってもらうのがプロポーズだった。
ジョニーと結婚するのかと、動揺するモモだが、アニメコンクールに賭けるジョニーの人柄に惹かれ、いつしか恋に落ちる。
出番の殆どが、普段は番組終盤にしか出ない「大人モモ」という、珍しい作品。
ある意味、「みんなの人助けをしている裏で、ミンキーモモには、こんな悲恋がありました」という番外編とも言える。
モモとジョニーの間には、「フェナリナーサ人と人間」「大人と子供」という、二重の壁が立ち塞がる。
絶対に、結ばれない二人の恋。
ジョニーの知っているモモは、魔法で変身した大人のモモであり、本来の12歳のモモではないのだ。
この話には、もう一つ、モモに取っての試練があり。
アニメコンクールを前に、病で倒れたジョニーの為に、モモは魔法で、彼が作っていたアニメを完成させようとする。
だが、現像したフィルムは真っ白だった。
ここでモモは知る。
魔法で他人の夢を叶える事は出来ない。
夢を叶えるのは、当人自身なのだと。
ならば、今まで自分がしてきた事は?
この話の2話後に、モモは魔法の力を失い、3話後にトラックに轢かれて死ぬ。
この話は、モモに取って、失恋と同時に「魔法を信じる力」をも失った、厳しい話なのである。
この話には、数々の挿入歌が流れ。
ミュージカル的な演出が好きな、首藤剛志氏の、本領発揮の一作とも言えよう。
なお本作は数年後、制作プロダクションもスタッフも違う「魔法の天使 クリーミィマミ」で、アニメーターをピアニストに置き換え、リメイクされている。
二番煎じだが、ピアノの生音を使った演出が、絶大な効果を上げていた。
両作を手がけた読売広告社のプロデューサー、大野実氏のアイデアだと思われる。
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