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2016年10月29日18:15

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【美術】府中市美術館「超本気」です。「LEONARD FOUJITA 藤田嗣治展 −東と西を結ぶ絵画」

皆様、お今晩は。府中市美術館にて12月11日迄開催中の驚愕の大回顧展「LEONARD FOUJITA 藤田嗣治展 −東と西を結ぶ絵画」に行って参りました。その感想です。



26歳でパリに渡った藤田嗣治(1886-1968)は、試行錯誤の末に生み出した独自の画風で一躍パリの寵児となります。製法を秘して語らなかった乳白色に輝く下地、面相筆で引かれた流麗な墨の線。日本的で繊細な美意識と巧みな技術が、人々を魅了したのです。そして、その個性を引き立てたのは、裸婦や自画像といった西洋の古典的な画題でした。藤田は西洋絵画の伝統に正面から向き合うことで、ヨーロッパの人々に真に認められることを目指したのです。それは「東と西を結ぶ絵画」と呼ぶに相応しいものでしょう。

しかし一方で、二つの世界を背負った彼は、両者に引き裂かれるような苦しみも味わいます。パリでの評価を重ねるほどに大きくなる、嫉妬と羨望の入り混じった日本画壇からの反応。さらに、戦後は戦争画制作の責任を問われ、追われるように日本を去ります。そして、フランスでキリスト教に改宗し、晩年は礼拝堂の建設と壁画制作に没頭しました。祖国との間に生まれた深い傷を癒すような祈りにも似た創作の日々を重ね、81歳で没します。

このたびの展覧会では、東西文化の融合と対立に注目しながら藤田の創作の歩みをたどります。華やかな成功に彩られながら、苦しみや葛藤にも満ちた彼の生涯ですが、作品のひとつひとつからは「描くこと」に真摯に向き合った画家の姿が見えてきます。

近年ランス市に寄贈された未公開作品など、国内外の代表作により藤田の作品世界の全貌を紹介します。通常よりも会場規模を拡大し、大作を含むおよそ110点をご覧いただきます。

府中市美術館はいつも気合の入った展覧会を組んで下さるので是非とも応援したい美術館の一つですが、今回は気合の入り方が尋常ではありません。いつもでしたら展示室2つで行うのですが、今回は常設展示室も潰して3つの展示室で110点ではなく158点もの作品があるのですから、もうそれだけで5ッ星確定であります。

今回ビックリしたのは竹橋から『アッツ島玉砕』、『ソロモン海域に於ける米兵の末路』、そして戦争画の最高傑作と信じて疑わない『サイパン島同臣節を全うす』という戦争画を三枚持ってきたのは予想通りなんですが、ブリヂストン美術館からも持ってきているし、平野政吉美術財団からも勿論ありますが、ビックリしたのは「迎賓館」から『銀座コロンバン壁画 貴婦人と召使い』と『銀座コロンバン壁画 田園での奏楽』の二枚を持ってきたのには腰を抜かしました。更にデビュー当時の東京藝術大学美術館所蔵の『自画像』、いつも見慣れている竹橋の東京国立近代美術館の『自画像』、そして今回は名古屋市美術館の自画像に晩年の鉛筆描きの『自画像』に最後の夫人となった君代夫人の肖像もあって更に晩年の大作となったランスのノートルダム聖堂に収められたイコン風の『聖母子』そして、ステンドガラス迄手掛けていたんだと驚きの『キリスト』と『聖母子』でこれで文句あるか!?と何処に出しても恥ずかしくない堂々の大回顧展になっているのであります。

今回一通り観たのですがこの人程「画室・アトリエ」を描いていた方もそうそう居ないのではと思ったのであります。平野政吉美術財団の所蔵する『私の画室』は純和風の描き方なんですが、個人蔵の『モンマルトルのアトリエ』は何とゴッホ風の描き方なんです。一目見ただけでは絶対に同一の画家と認定するのは難しいと思いましたです。

あと今回の隠れた目玉は画家仲間の北川民次画伯を描いた二枚の肖像画があるんですが新発見された青い方の肖像は「何じゃこりゃ?」と首を傾げること必定の凄さであります。
これだけ観れて1000円とは破格のお値打ち品として是非観て頂けたらと願うものであります。


http://foujita-fuchu2016.jp/
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