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2016年10月28日17:55

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超長寿命エンジン(0035 AC 16/80)

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愛知県の知人が1937年ごろのAC16/80というモデルを所有なさっていて、エンジン修理のことで何度か相談を受けました。もう20年ほど前のことです。
1991cc直列6気筒OHCエンジンは3基のSUキャブレターで80馬力を発生しましたが、なんと第一次世界大戦後すぐの1918年終盤に登場した古い古いモノなんです。1910〜40年代を通して数々のレース/ヒルクライム用のスペシャルに使われた上に、第二次世界大戦以後もACエース(コブラの元になったクルマです)などに使われた「超」のつく傑作エンジン(その寿命の長さといったら!)なんですが、その知人のエンジンはマグネシウム(!)製のシリンダーブロックにヒビ割れがあり「さてどう直そうか」という状況でした。
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溶接すると熱で歪むからダメ(マグネシウムの鋳物を上手く溶接できる人が見つからなかったんですけどね)、メタル・スティッチング(冷間でヒビを「縫い合わせる」技術)は日本ではできない、ということで、結局イギリスでブロックを探しました。奇しくも後にMGで全く同じ経験をするんですけどね。

この16/80というモデルは「戦前のスポーツカーはさもありなん」というスタイルでとても魅力的なクルマです。愛知県の方が今もお持ちかどうか知りませんが、おそらく日本には昔からこれ1台きりでしょう。

16/80の発展型16/90は、アーノット製のスーパーチャージャーを取り付けて90馬力超を誇りました。生産台数は僅か44台。1930年代後半のイギリス車には魅力的なモノが色々あるのですが、コイツは間違いなく″One of the best″ですね!

なおACは元々別の名前でスタートした会社したが、1904年にクルマ生産を初め、1907年に社名をAuto Carrier社に変更します(″AC″はこの略)。このあたりのことは2005年4月号のカーグラフィック(CG)誌に書きましたので、興味がおありの方はご参照下さい。
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