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2016年10月21日00:16

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エヴァ噺

 9月16日からBSプレミアムで放送されている『エヴァンゲリオン』には『エヴァ噺』というミニコーナーがおまけでついていて、各界の著名人というか、でも、日経連会長の榊原定征とかはお呼びではないので、結局はだいたい芸能人が自分にとってのエヴァみたいなことを語っています。
 最初はさぶい企画だなと思わないでもなかったのですが、そこはさすがに20年前のアニメだけあってもうとっくにこなれているというか、なかなかの落ち着きぶりをみせていて、そのあたりも見どころになっています。

 ちなみに、このタイトル、エヴァの「ヴァ」と噺(ばなし)の「ば」を重なっているものとして、噺のフリガナを「ナシ」にしているのですけど、そういうセンスってどうなんでしょうかというか、ヴァとバは重ならんだろと思うのですが、そんなところにいちいちひっかること自体が野暮なんでしょうな。こういうところは、さらっと流して、ええ。

 さて、記念すべき第壱噺(←番組中の表記のまま)は今田耕司でした。これがいいんですよ、庵野秀明に近い世代のおっちゃんがひさしぶりに見た心躍るロボットアニメに気負わず語っている感じが。エヴァのダイナミックな動きに痺れ、葛城ミサトに惚れて、綾波レイもかわいいと思ったけど部屋が荒れているので超潔癖症としてはひいたとか。ミサトもたいがい部屋は散らかりすぎだと思いますけど。というか、庵野秀明の一人暮らしの女性の部屋が殺風景か散らかっていないと気のすまない感じって、なんなんだと思いますが。

 第弐噺は栗山千明。ジュニアモデル時代に雑誌の企画で綾波レイを割り振られて、そこから興味を抱いたそうです。世代を感じますな。私は『キルビル』で鉄球を振り回しながらユマ・サーマンに襲いかかっていたイメージが強くて、綾波レイはあまり結びつかないのですけど、当時は無機質で無表情な感じだったんでしょうか。
 彼女は第四話で一度はネルフを去ったシンジがミサトと再会してひどく間をおいてから話し始めるところとか、ヤシマ作戦直前のシンジとレイのやりとりとか、引きの演出が印象に残っていると話していていました。たしかに『エヴァンゲリオン』は巨大ロボット・バトルアニメなのに引きの演出を多用しているという画期的な作品で、第弐話でも前回の予告で勝ったと結果をばらしているのに、肝心の戦闘シーンはろくに歩けもせずボコられたままぶつ切りにされて、戦闘後のシーンへと移行し(シンジがどうやら無事なことだけがわかる)、最後の最後に回想のような形で初号機が暴走して勝ったみたいな、それだったらパイロットいらねえじゃんみたいな、とりあえず起動にだけ必要だっていうのなら、そりゃ、後になってシンジくんもグレてバックレるよなという幕切れになっています。
 なかなか鋭い見解だし、この時点でこのアニメのプリミティブな魅力を総括してしまっている、よくできた構成だとも思います。

 第参噺には西川貴教が起用され、4枚目のシングルのTVスポットのCMでは、明朝タイトルの表示のやり方など『エヴァンゲリオン』をもろパクリしたと語っていました。でも、当時、あれはそこかしこでパクられまくりでしたね、そういえば。
 ミュージシャンだけに劇伴についても触れていますけど、音楽そのものはありものを使っていて、映像との取り合わせがツボだったりするので、ちょっと荷が重かった気配はあります。

 第四噺は肩書が経済アナリストってことになってますけど、一般にはテレビのコメンテイターとして認知されていると思われる森永卓郎。この人はひたすら綾波レイが好きで、ずっとレイのことを「レイちゃん」と言っていました。
 でも、容姿と言動のそこかしこにオタクっぽさの記号をちりばめつつ、物腰と話し方はあくまで優しく穏やかで、現時点でのテレビの許容ラインを一歩も踏み出さない安心感というか、この人がメディアが重宝されているんだろうなということがよくわかるインタビューでした。
 こういう書き方をしてしまうと、毒にも薬にもならないだけが取り柄のつまらないやつと思ってそうに伝わってしまうかもしれないですけど、言わんとすることを場における許容範囲にきちんと収める知性というか、とにかくちゃんと伝わるように噛み砕いて話そうとする姿勢なんかは、なかなか並みではおさまらない人柄をしのばせます。
 ちなみに綾波レイの台詞、「にんにくラーメン叉焼抜き」は台本では「のりラーメン」で、放送されたのは収録時のアドリブだそうです。キャラ、けっこう変わっていると思いますけど。

 第伍噺は鈴木杏。第弐噺の栗山千明とほぼ同世代で、思春期に初めて接し、最初はシンジ・レイ・アスカと同世代で見ていたものを、やがて、ミサトやリツ子の視点で捉えるようになってくるという、放送時にはすでに大人だったらもうできない見方をしてきた人たちです。
 まあ、でも、あらためて赤木リツ子とかはないと思うのですけど。おいおい、碇ゲンドウかよ、そりゃ、ないぜって感じで。
 劇中の人物では、テレビ放送版では無理に無理を重ねた挙句、ついに壊れてしまったアスカに共感ししていたそうです。甘えるのが苦手で、つい虚勢をはって頑張っちゃうところとか。あまりそういうイメージはなかったですけど、人は見かけによりませんな。

 さらに予告によると、第六噺は東野幸治だそうです。まだ20人のゲストがいます。みうらじゅんは間違いなく襲来してきそうです。杉作J太郎は当時、「綾波レイの背中に東映ヤクザ映画全盛期の健さんを見た」という相変わらず無駄にアツい原稿を書いていた記憶があるので、来るかもしれません。
 これだけ数がいると、「ボクをそこらのニワカといっしょにしないでください」オーラをばりばり漂わせながら、肝心の話は薄っぺらいという禁断のパターンも一人ぐらい見てみたい気はします。
 あと、25・26話で誰が来るかですよね。もちろん、どの話のことを語ってくださいみたいな指定はないはずですけど、ラストに言及する人もいくらかはいるはずですから。岡田斗司夫とか来ると、それだけで緊張しちゃいそうですが。

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