「お金がなくて困ったことはありますか。
所持金がなく、貯金も無くて、本当どうしようもない本当に追い詰められた状況のやつです。
そんな時、お金を借りたりしますよね。
するとどんな心境になるかわかりますか。
とても安心するんです。
あー、これでご飯が食べられる、家賃も払える、いつもの生活が続けられるって。
確かに借金を背負うことにはなるんですけれど、なんというか、そんなことどうでもいい他人ごとに思えてくるんですよ」
昨日見た映画の中でのセリフである。
正直、ゾッとした。
幸運にも私は生活に困って借金をしたことがないのだが、ただ、以前知り合いだったある借金王のことを思い出した。
その人はギャンブルが原因で、あらゆる金融から借金をしていた。
遊ぶ金欲しさが理由だったので、心を入れ替えて必死で返す努力をすれば返済することもできたのに、なぜか安易に借金を繰り返していた。
その時はその人の心境がよく分からなかった。
直接理由を聞いたことがあって「簡単に借りられるから」と答えていたのを覚えているが、ようやくその言葉の意味が分かった。
返そうなんて思ってなかったんだ。
お金が無くなって経験する、空腹だとか寒いとかは直接感じる苦痛だけれども、お金を借りて借金〇〇円だと言われても、直接的には何も感じない。
返済しようとしても、お金を稼ぐために感じる疲れたとか眠いという感覚は非常に苦痛だから、またお金が必要となったら、何の苦労もない借金を重ねることになったのだろう。
そのうち、どうやって借金を返そうかという考えが無くなって、次にどうやってお金を借りようかとしか思わなくなったというわけか。
借金が原因で迷惑をかけた人々に「どうもすいません」とか言ってたけれど、あれも直接的に感じるしんどさって無いからなあ。
今思えば、本心だったのか、難を逃れる方便だったのか疑問だけど、限りなく黒に近いグレーのような感じがする。
おお怖い。
私だって、生活を失う可能性はある。
生活を失わない努力をしているけれども、もしもルーレットの球が00に入ったら、私もそうなってしまうのだろうか。
そこがまた怖い。
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