昔、ディッキーシートというのが世界各国で流行りました。2座クーペのトランクに追加の座席を仕込んだモノです。普段は2座スポーツとして楽しみ、イザという時はトランクのリッドを開けて3人ないし4人乗れる便利なモノ。トランクの底に座面、トランクリッドに背もたれが。
ここに座ったことがありますが、乗り込むのが大変!なんだかクルマの後ろに「よじ登る」感じですね。足を掛けるところはありますが、身軽な人でないと難しいでしょう。太ったご婦人など絶対にムリ!また荷物のことは…考えないようにしてたんですね(笑)。
雨が降ってきたら、ディッキーシートに座っている人はビショビショ、哀れこの上ありません。そこで雨の多いイギリスではディッキーシートまで幌で覆われるクルマも作られました。モーリスなどからChammyという愛称で売り出され、人気を博しました。
今回紹介するのは、フランスのボルドーで1906〜1932年まで存続したGeorges Royというメーカーの変わったクルマです。
このメーカーは普通のクルマを作っていた南フランスの中堅メーカーでしたが、こんな面白いクルマも手掛けていたんですね。
簡単に2座から4座に変身するのですが、ディッキーシートのような不自然さがまるでありません。デザイン的な破綻がまったくなく、もともと2座だったのか4座だったのか全然わかりません。
サイクルカーは別として、普通のクルマのメーカーはシャシーのみ作り、コーチビルダーに送ってボディを架装してもらうのが普通だったこの時代、Georges Royはボディまですべて作っていたようです。だからこのユニークなボディもGeorges Roy自身のアイデアと生産によるもの。タイヤとガラス以外は全部自製していたようです。スゲ!
ログインしてコメントを確認・投稿する