25年ぶり

　小学校に上がるか上がらないかのころ、病気がちでよく病院に通っていた。待合室のテレビで野球の試合を中継していて、ある時、突然、それを眺めいて人たちがいっせいに騒ぎだして驚いた記憶がある。
　病院の待合室というところは、互いに面識のない人間が集まっているところだから、みんながけっこう大きな同じ反応をしたことが不思議だった。
　それから、しばらくは大人たちがその話題でもちきりだったように思う。

　そのときはまだそれがどういうことか理解していなかったけれど、今になってみるとそれがカープの初めての優勝のときのことだった気がする。もっとも、後になって自分で捏造した記憶の可能性もなくはなく、たとえば最初の優勝の決まった試合がデーゲームだったかとか、調べればわかるのだろうけれど、別にそれが嘘の記憶でも困らないから放ってある。

　1991年の優勝のとき、ニュース23はその日、球場で優勝の決定を見届けて涙ぐむ筑紫哲也の姿を冒頭で流してから番組を始めていた。彼が生きている間にカープが優勝したのは、それが最後となった。

　ニューヨーク・ヤンキースに行っていた黒田が帰ってくるというのでひさしぶりに選手をみてみたら、菊地や丸といった見たことのない名前があって、ちょっとした浦島太郎気分にひたっていると、FAで阪神に行ったはずの新井も戻ってきていて驚いた。新井の人的保証で広島に来た赤松もまだいる。

　去年はけっこう頑張ったけど結局、Bクラスだったらしい。今年は夏になってからどんなものかと思ってみてみると、割と独走で首位につけていて、そのまま優勝していた。