勝手に週刊連載TL「俺の本棚」第30回。
今回はこれ。
阿部智里さんの『烏に単は似合わない』。
八咫烏シリーズというシリーズ物の第1巻。
帝(金烏)が支配するクニ「山内」が舞台の、ファンタジック宮廷政争物語と言ったところ。
東西南北の四家が、それぞれの姫君を入内させて次世代の権力を手に入れようと争う、なんていうくだりは、何処となく昔の日本を想起させます。
というか、ほとんど日本です。
ただ大きく違うのは、彼らは「八咫烏」と呼ばれ、普段の人型のみならず、鳥型へと変身することができる一族だということ。
この第1巻のメインの語り手は、姉の事情により急遽白羽の矢が立った東家のニの姫。
正直、この姫君がなんだかんだで次期の帝である若宮とくっつく、ごくありきたりなスイーツ小説…だと思いました。
ええ、終盤までは。
終盤の展開は、まるで推理小説のクライマックスのよう。
この作者、この作品は、一筋縄ではいかなかった。
ミスリードにまんまとハマった自分が悔しいのなんのって。
いや、違和感はずっとあったんですけどね。
予想を遥かに上回る揺さぶられっぷりでした。
これは、是非読んで欲しい作品。
そして、俺と同じ悔しい思いをするがいい!
…ってくらい、ホントに久しぶり悔しい作品でした。
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