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2016年08月07日23:59

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[趣味]銃口

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勝手に週刊連載TL「俺の本棚」第26回。
今回はこれ。
三浦綾子さんの『銃口』。


いや、実は本当は今日、違う作品で書くつもりだったんだけどね。
諸事情により変更を余儀無くされて、急遽の代役。


結構ネタバレありますf^_^;


物語は、1920年頃の北海道、札幌から始まります。
主人公の北森龍太は、札幌では名の知れた質屋の大店の長男。
店主である父は、差別を受けて逃亡した朝鮮人労働者を危険を顧みず匿うような人徳者でした。
また、小学校の頃の担任に深く感銘を受け、教員の道を選びます。
都会では戦争が身近に迫る中、炭鉱の町で新米教師として充実した日々を送っていました。
しかしそんなある日、たまたま誘われて出席した会合がきっかけで特高に目を付けられ、監禁、拷問を受け、挙句教師の資格まで剥奪されてしまいます。
その失意から立ち直り、満州に新天地を求めようとした矢先、長男にも関わらず召集令状が届いてしまうのです。
配属先は皮肉にも満州の北端に近いソ連国境近くの街でした。
事務能力を買われ、酒保の管理を任された龍太ですが、病に倒れている間に所属する部隊に転戦命令が下り、置き去りにされてしまいます。
偶然合流できた別部隊の上官らと共に決死の逃避行を始めた龍太ですが、反日ゲリラに発見され、絶対絶命に陥ります。
しかし、そこで龍太が出会ったのは、余りに意外な人物でした…。




この作品の核とも言えるのが、実際にあった「北海道綴り方連盟事件」という、あまり知られていない事件です。
小林多喜二の例を引くまでもなく悪名高い特高警察による、思想犯(と彼らが判断した)に対する弾圧の一幕でしかない、のかも知れません。
しかし、この作品から感じる空気と現在の日本の空気は、何処か…いや、かなり、似たものを感じてしまうのです。

偶然と片付けるには、余りに纏わりついてくるモノ。
この作品は、全く色褪せていない「昭和」だと思います。
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