mixiユーザー(id:10258677)

2016年06月29日01:43

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「素敵なサプライズ」死ぬのを止めたくなったら?

とてもおしゃれで、カーレースなどもあり、綺麗な画面で楽しく観ました。
が、バックグラウンドに、オランダやベルギー、ルクセンブルク、
スイス、米国の一部の州など、安楽死(自殺幇助)が合法であるという
事実が存在するからこそのオランダの作品なのでしょう。

素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=10258677&id=3942091
http://sutekinasurprise.jp/

広大な屋敷に使用人たちと住む、貴族の末裔の若き大富豪、
ヤーコブ(イェルン・ファン・ニンスブルッヘ)。
母を見送り、独りになって家屋敷もすべて売って、死を選ぼうとする。

彼は4歳の時、大好きな父親を事故で亡くし、
そのショックから身を守るために、一切の感情に蓋をして、
笑うことも泣くことも怒ることもなく過ごしてきたのだ。

そして、奇妙な旅行代理店エシュリオン(死後の楽園)に
「死への旅」を依頼する。彼が選んだコースは、
いつどんな死に方をするか分からないサプライズ・コース。

社内のお棺売り場で出会ったのは、同じサプライズを選んだ
若い女性のアンネ(ジョルジナ・ヘルバーン)。
知り合ううちにヤーコブは、もう少し、時間の猶予を願うが…。

門を入ってドライブウェイを過ぎて、見えたと思ったら、
まだ、車でその先へ行かないと…という広い豪奢な屋敷。
高価な高級車がずらりと並ぶ車庫、その車で飛ばしたり、
二人のダンスシーンなど、素敵な場面もいろいろ。

映画としては、いったんは死を願っても、アンネとの出会いで、
生きがいを見出したヤーコブが、キャンセルは駄目という「死」を
いかに潜り抜けるかという、後半はかなりのドタバタ。

老いた執事とヤーコブの出会いと別れのシーンが切ない。
疑問は残るけれど、彼の選択は「愛する人と」なのね。
テーマは重いが、楽しんで見終えたダーク・コメディ。


今までに1万人以上が、安楽死を選んで旅だったという。
基本、苦痛を避けるための死と言うと納得してしまいそうになるが、
安楽死後臓器提供とか、がんの高額医療には手当を出せないが、
安楽死には援助があるところもと聞くと、いろいろ疑問も湧く。

日本でも今後、医療費の増大の多くを占める
高齢者の高度医療を、どこまで保険でカバーするかという問題が
「高度医療の年齢制限」という形で出て来るだろう。

「尊厳死」と「安楽死」「自殺幇助」はそれぞれ違うものであるし、
自己決定権が、果たして本当に望んでの自己決定なのか、
追い詰められての決定なのか、よほど考えなくてはならない。
また、精神・知的・身体障害者の問題も複雑に絡んでくるだろう。

いろいろ楽しく見終わった映画だったのだけれど、
後になればなるほど、とんでもない問題を孕んでいたのだと思う。
それだけに、観て楽しめて、考える良いきっかけになるのかな。

この問題を考えてみたいと思う方にお勧め。
「死ぬための旅行、安楽死が合法の国。
その条件と尽きない議論。生きることが辛いと死ねるのか?」
http://stonewashersjournal.com/2014/08/29/euthanasia/

長いけれど読みでがあります。障害者のお子さんを持つ視点から。
「安楽死や自殺幇助が合法化された国々で起こっていること」
http://synodos.jp/society/1070




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