麻生区と宮前区

　先週末に川崎市を横断しようとして歩いたルートを地図の上にプロットしてみました。



　緑色の線が5月15日のルートで、そこに重ねた青が先日(6月19日）のものです。あわせて眺めてみると初回の横浜市鶴見区へ逸れている遠回りが間抜けすぎますけど、その無駄を廃した分を考慮しても、先週末は頑張って前へ行ったなと思いました。

　というより、多摩川のこちらはずっとまだ神奈川県だとばかり思っていましたけど、東京都稲城市のほんの手前まで行っていたのですねえ。南武線でいえば、あと一駅でも進めばそこは東京でした。てことは、ほぼ横断しとるやん。

　したがって、横断についてはほぼ達成していたのですけど、それだけじゃなくて、区を制覇するいう話はどないなったんやということについていえば、実をいうとやっと調べて判明したところによると、まだ宮前区と麻生区に足を踏み入れていません。おいおい、横断すれば区もついでに片付くいう話やなかったんかいと仰せのむきもございましょうが、ここにまたこみいった事情がございましてな。



　上は川崎市役所のホームページから無断で引用してきた区割りの画像ですけれども、なんだかたしかに横断すれば貫通できそうじゃないですか。ところが、川崎市を東西にはしる交通手段は南武線にせよ、府中街道にせよ、多摩川沿いの北辺に偏していて、ここを通るぶんには宮前区と麻生区をスルーせざるをえんのですな。

　ここらへんは東京近郊にありがちなんですけれど、川崎区は京急で品川、幸区はＪＲ東海道線で京浜東北線で品川、中原区は東急東横線で渋谷、高津区と宮前区は東急田園都市線で渋谷、多摩区と麻生区は小田急小田原線で新宿とそれぞれつながっていて、同じ川崎市ではあっても互いにはほぼ没交渉です。要するに、川崎市は東京都によって分割統治されておるのですよ。

　つまり、多摩区が中ボスでその次がラスボスなのではなく、高津区が親衛隊長ポジションの中ボス、多摩区が皇帝にしてラスボスながら、それぞれに裏ボスの宮前区と麻生区がいて、そいつらを探して倒さないといけなかったということなんですよ。必要ですかね、このRPGたとえ。

　もちろん、今から宮前区と麻生区を徹底的にディスって、こんな区はとるに足らないのであって、わざわざ足を運ぶ必要などない、むしろ、無視してしかるべきだ！と強弁することはできます。たとえば、宮前区なんか人口が20万もいるのに、高校は一つしかありません。つまり、住民はほとんど中卒なんですよ。なんてことはなくて、ふつうにみんな都心の高校に通ってるんですな。煙草を買うにも、とりあえず、渋谷まで出てるんじゃないですかね。
　……なんて憎まれ口を叩いてどういう意味があるのかと問われれば納得のいく回答は困難ですが、少なくとも私の自尊心は守られます。

　ちなみに、宮前区出身者といえばベッキーや織田裕二、在住者ならルー大柴と青柳勝（AV男優。知らない）。麻生区に関係のある人たちといえば、福島瑞穂・桑田真澄・元木大介・大神いずみ・小野武彦・平泉成・村井国夫・音無美紀子あたりだそうです。怒らせて怖い人とかは、あまりいない感じです。この中ではルー大柴が市の広報紙でインタビューに応じ、「川崎はボクのセカンド・カントリーだから」と言っていました。そこはニュアンス的にカントリーじゃなくてホームじゃないかとも思いますが、ルー語につっこむのも無粋ですな。
　でも、この人は何年もアメリカやヨーロッパを放浪した経験があって、あの言葉だってかならずしもデタラメというわけではなく、だいたいあんなもんで通じるんだと思うと気が楽になりますけど、外国人とはふつうの英語で話しているのかもしれません。
　あと、麻生区の区役所の提出用書類の記入例には麻生太郎の名前が使われていたそうですけど、麻生太郎が首相になった時に、さすがに変えたそうです。ウィキペディアにはどう変えたか記述がありませんが、麻生一郎とか麻生花子じゃないでしょうか。

　とはいえ、もとからさして広くもない世間をますます狭める必要はないわけで、もう別にどうでもええやん、別に最初からそんなこと考えてなかったし、とすべて巻き戻してなかったことにするのが賢明かもしれません。

　ちなみに、川崎市が政令指定都市になったのは1972年のことですが、この時の区割りは川崎区・幸区・中原区・高津区・多摩区の5つだけでした。この時点では本当に輪切りみたいだったんですね。1982年に高津区から宮前区、多摩区から麻生区が分かれて現在の区割りになったので、この分割を認めないという立場をとるならば（なんだそりゃ）、すべての区を踏破して川崎市を横断したと主張できなくもありません。
　そうしておきましょうかね。