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2016年06月21日23:16

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エッセイ集458:「TO BE, OR NOT TO BE?:英国の悩みは世界の悩み」

EU残留かEU離脱か? ”TO BE, OR NOT TO BE?”。この「ハムレット」の悩みに対する英国の国民投票が明後日に迫ってきました。

思えば、英国(United Kingdom: UK)からのスコットランドの独立の投票が僅差で否決されてからまだ2年が経ちませんが、この「EU残留かEU離脱か?」というような「ハムレット」の悩みがシェイクスピアの母国の英国で立て続けに起こっていることから、どうも悩みが尽きないというのが英国の国民性なのかも知れません。

しかし同じような現象は、米国ではグローバル主義か保護主義かが大統領選挙の争点となり、またTPPではそれを主導してきたはずの米国がTPPという「地域グローバル主義」に及び腰になり、さらに直近ではローマ市長に反EU派が選ばれたという風に、先進国で立て続けに起こっています。

経済のグローバル化にともない世界のボーダレス化が顕著になってからかなりの年月が経ましたが、ボーダレス化は本質的には自由な「富の移動」と同時に自由な「貧困の移動」ももたらします。

世界全体として市場面、エネルギー面、環境面でのゆとりがあれば、格差を堅持しつつ全体的には「富を増やす」ことが出来ましたが、世界が「ゼロサム(成長の限界)」近づくに従い、相対的に「貧困の移動」が比重を増し、結果的には先進国が既得権と思っていたことが既得権でなくなり先進国の生活水準の低下を招くことになります。

そういう意味では、世界が「ゼロサム(成長の限界)」近づいてきた現在、英国のEU残留かEU離脱かという悩みは、米国の大統領選の悩みでもあり、TPPへの悩みでもあり、しいては世界の悩みなのかも知れません。

ちなみに、日本が欧州に位置していた場合はどうかと考えると、日本は財政累積赤字がGDPの200%超で、EUの加盟条件である「GDPの60%以下」を満足せず幸か不幸かEUには加盟できず英国のような悩みも生じません。

一方では、英国のEU離脱の可能性が大きくなるにつれて、投資家はその財政累積赤字に関わらず何故か比較的安全な資産とされる円を買うために円高になるという珍現象が起きています。今後の本当の世界の成り行きは、政治家に聞くよりこの珍現象のからくりを知っている投資家に聞いた方が良いのかも知れません。

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