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2016年06月17日12:21

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エッセイ集457:「上海ディズニーランドからサービス業を想う」

上海ディズニーランドが昨日開園しました。

約8,000円の入場料で年間1000万人の来場を見込むと言いますから、それだけで800億円、それ以外の経済効果(グッズ・宿泊・運輸など)を含むと少なく見積もっても全体として2000億円の経済効果を生むのではないでしょうか。

米国にディズニーランドが開園したのが1955年。通常の意味とは異なるかも知れませんが、アメリカの文化や娯楽への憧れという面ではディズニーランドは”American Dream”を体現していたとも言えるのではないでしょうか。

以降、1970年当初開園のフロリダのディズニーワールド、1980年代開園の東京ディズニーランドなどに続き、世界で6番目として上海ディズニーランドが開園したことになります。

米国のディズニーランドの開園から現在に至るまで世界の経済環境は大きく変わってきました。1955年当時は、途上国も含めると世界的には一次産業(農業・林業・水産業など)や第二次産業(製造業・建設業・インフラ産業など)といった衣食住を担う産業が大きな割合を占め、さらにそれらに加え金融、通信、運輸などといった実体のある一部の第三次産業が生み出した価値の対価(収入)のおかげで、ディズニーランドなどといった無形のサービス業(ここでは第三次産業の中の観光業)が成り立っていたと思われます。

そしてこの無形のサービス業が、「衣食足りて礼節を知る」と言われるように、基本的には衣食住を担う第一次・第二次産業や実体のある各種の第三次産業の基盤の上に成り立っているという事実は、1955年当時も現在も変わっていないと思います。

その第一次・第二次産業や実体のある各種の第三次産業も、自動化・機械化・情報化の恩恵を受けていますが、それは常に途上国における労働集約型産業(卑近な例では、中国や東南アジアの繊維業)に補完されており、その先進国と途上国の垂直分業という構図は大きくは変わっていません。

その労働集約型産業に携わる途上国の人々の大多数は、賃金の南北格差により、中堅国や先進国の人々の(サービス業からの恩恵を含む)裕福な生活を支えていますが、それと同じ理由でサービス業の典型であるディズニーランドとは無縁の生活を送っています。

従来から先進国と途上国の関係は「雁行形の発展(先進国が主導し途上国が従うことで相互に発展していく有様)」といったような言葉で言い表されており、また最近ではアベノミクスにおいても国内の各種の格差の解消の道筋において同じようなことが言われています。

上海ディズニーランドの開園により、経済大国でありながら途上国である中国の多くの人々が、必然的に色々な面において格差に支えられている無形のサービス業の典型である「ディズニーランドの観光」を楽しむという新たな構図が生まれました。

折角ですのでこの機会を利用して、観光に限らず無形のサービス業(卑近な例:ゲーム、SNSなど)の必要性の可否そのもの、また有形・無形の各種サービス業の依拠する基盤、さらには各種サービスを享受している自分自身の生活が依拠する基盤(=立脚点)について、その基本に横たわるエネルギー問題や環境問題も含めて、今一度じっくりと見直してみるのも結構有意義なことではないでしょうか。

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