<strong>《ふる／西加奈子》</strong>
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生きるということはとても面倒なことです。自分の意志で生きているようで、実はそうでもないような気がしないでもないし、何者かによって生かされているという言い方もよくされますが、それとて場合によってはそう感じることもあるかもしれませんが、あまりリアルな感覚ではないような気もするし・・・。個人的にはやっぱり、流されているという表現が、いちばんピッタリくるような気がします。
本書の主人公は女性ですが、男に比べ女性の方が、生きているという実感が強いのではないかと思います。そのことは、女性はお腹に子を宿し、産み、育て、愛するということと関係があるのではないでしょうか。たとえ子供のいない女性でも、身体の深い部分にその本質は備わっているでしょうから。母性と生きるという行為は、大変深い関係にあるような気がしました。
人生は不可解なものですが、この小説は生きるというとんでもなく面倒でややっこしい行為を、何気なくサラッと書いているところがスゴイです。主人公の視点だけでなく、その他の登場人物それぞれの生活を想像しながら読むと、さらに深みが増しますネ。
べそかきアルルカンの詩的日常
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べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
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