mixiユーザー(id:1673188)

2016年04月23日13:10

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ポラロイドの写真を振る

インスタントカメラとかも言うが…まあ社名、商品名ではあるがポラロイドと言った方が通りが良いだろう。
さっき、ひつじのショーンを見ていたら、出てきたプリントを振っていたので思い出した。

かつてデジカメがまだ無い時代、記録用に随分使ってた。サンプルや、出荷時の確認や発送時の添付書類とか…ワシは主に試作品の記録用に使ってた。そうそうたくさんのサンプルを作るわけではないし、現物保管のスペースも限られているので、提出用しか作らないで写真を撮って記録を残すワケだ。

ひつじのショーンのもそうだったが、まあポラロイドと言うと平たい箱のようなカタチのカメラの前面についたシャッターを押すと、ペ〜っと前にプリントが出てくるタイプを想像するんでは無いか。
このタイプは振らない方が良い。

それより昔、普通のカメラに似た形状のがあって…いや、ちょっと大きいが…カメラの横から出ている紙の端を引っ張ると黒い紙が出てきて、これを数十秒放置してから表面のをはがすと言うのがあった。気温により待ち時間が違ったような気がする。
その表面の紙をはがしたとき、ちょっと湿っていたので、それを早く乾かすために振っていたのが最初なんだろう。
ワシはどんどん机の上に並べて行くか、洗濯ばさみで洗濯ひもにぶら下げたりしてたので振ると言うコトはしなかったけど。

ここらへんのポラロイドのシカケについて簡単に説明する。

まず、デジタルでないカメラは銀塩写真などと言われるが、銀塩と言う言い方は確かに元からあったもので正しくもあるが、一般の人が使うような言葉では無かったと思う。当たり前だが、かつてはカメラと言えば銀塩だったのだ。デジタルが出てきたので区別するために引っ張り出されてきた専門用語だ。

で、銀塩カメラは普通フィルムと言ってるが、薄い樹脂のフィルムに銀塩化合物を塗布し、それを露光することで画像を記録する。露光というのは一定の時間光に当てることだ。
ある種の銀塩化合物は光に晒すと色が変わるという性質がある。
写真の黎明期には数時間を要した露光が、数分になり、数秒になり数十分の一秒になって気軽に使えるものになっていったワケだ。
しかし露光したフィルムは、再び光に晒すと更に反応が進んで真っ黒になってしまう。
そうならないように化学反応を停止させる必要がある。別な薬品に浸すのだけど、これを現像という。かつては町のカメラ屋さんがやっていた。
このときのフィルムは明るさと色相が反転したネガフィルムになる。
ネガフィルムを映写機のような装置にセットしてもう一度、今度は印画紙に露光すると再びネガポジ反転して普通の状態になる。フィルムと同様に印画紙の反応も止める必要があって、また薬品に浸すのだけどコレを定着という。

初期のポラロイドカメラ…はがす奴は、この一連の動作を一枚の印画紙上で行っているような感じだ。
つまり後ではがす黒い紙がフィルムで、ここにカメラのレンズを通した光が露光する。
そして紙を横に引き抜くとき外光によりフィルムを通して下の印画紙に露光される。
そして、定着液の入った袋がローラーで押しつぶされて印画紙上に塗布される。
それで印画紙が微妙に湿気ってるワケだ。

その後の、自動的にはき出されるタイプは原理が違う。あれは何枚パックだったか忘れたが10枚かな…印画紙パック自体に薄い電池が内蔵されてて、プリントが出てくるのはモータードライブになってる。
印画紙を手で引き出すときに引っかかったり指が滑って一定の速度にならなかったりすると綺麗な写真にならないコトがあって、機械的に動作させることでそういうトラブルを減らしたのであろう。

そのタイプでは表面の写真の部分に露光する。しかし、銀塩化合物は透明なフィルムの裏面に塗布されている。そして印画紙の端のところの袋をつぶして定着液を塗布するのである。
しかし、印画紙にネガから露光するという工程は無い。最初から印画紙にポジで露光する。
普通のカメラに使用するフィルムにも、主にスライド用などでできあがりがポジになるものがあり、これをリバーサルフィルムと言う。
これは、普通に露光すると現像時に明度、色相が逆転してポジになると言うモノだ。
後の方のポラロイドは、このタイプの反応を使ってると思われる。

しかし、この方式には欠点がある。
写真を切って使うことが出来ない。何しろ透明なフィルムの裏は薬品が塗られているだけなので、切ってしまったら崩れてしまうのである。
それに比べると昔の手で引っ張るのは乾いてしまえば普通の印画紙と同じ扱いができたから便利であった。また書類に添付する際に厚いのが結構邪魔だったし。

それでこの後の方のタイプを振るとどうなるかと言うと、何の意味もない。早く画像が出るなどということは全くない。
非常に激しく振り回すと、定着液に偏りが生じて色むらの原因になる。
まあ、無意味な行為というのはよくあるコトではあるし。

そうこうする内にデジカメが登場し、カラープリンタで簡単に出力できるようになりポラロイドの出番も無くなった。ただ現在でもポラロイドでは、プリンタ内蔵のデジカメを作ってるようだ。
簡便さはそのままで便利機能もつけて。
まあ、画像データを簡単に送れる時代でもプリントアウトがその場で出来るのにはそれなりのメリットがある。無論、デジカメの画像を電波で飛ばして専用のプリンタで印刷するなんてこともするが、カメラ単体で完結するというのにも一定のニーズはあるようだ。

このタイプは多分、昇華型の熱反応型プリンタかと思うんだが、出たときから綺麗な写真だ。それなら流石に振らないだろうと思ったら振ってる人もあった。w


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