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2016年04月17日23:16

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［趣味］平成関東大震災いつか来るとは知っていたが今日来るとは思わなかった

勝手に週刊連載TL「俺の本棚」第9回。
先週の予定では、小松左京さん繋がりで『首都消失』あたりを書こうかと思ってたんですが。

この数日で状況が変わり過ぎたので、こちらに変更。
第3回(だったはず)で書いた『川の深さは』の福井晴敏が書いた、コメディタッチでストーリーが進行する、災害サバイバルガイドといったところでしょうか。

ちょっと長いけど、「はじめに」を以下に引用。

はじめに

「いつか来る平成関東大震災」「首都直下型地震の恐怖」……防災の日が近づくと、各週刊誌の車内吊り広告が必ずこの手のあおり文句を謳い出す。無論、売れるからやることであるし、その期間は防災グッズの売上げも伸びるという。ほとんど季節商材となっているのだ。
なぜか？その手のあおり文句に釣られやすい我が身に引き寄せて考えるだに、これは一種の御祓なのだと思う。「気にしている」「考えている」と自分自身に証明することで〝いつか来るその日〟を畏み奉る御祓。おどろおどろしい被害想定を読み、脇の下にじっとり汗をかくことで、なにかを償却した気分になっているのだ。そして飲み屋や床屋談義のネタにしては、「怖いよな」「結局は運だよね」と納得しあい、十月になった頃にはすっかり忘却の彼方。マスコミもそうした消費のされ方を心得ているから、行政の不備やら東京の無防備ぶりやら、とにかく恐怖をあおり立てる。〝その日〟に繰り広げられるであろう地獄絵図を詳らかに描写し、時にはシミュレーション小説のような企画も立てる。
「週刊現代」で短期集中連載された本書は、まさにその手の企画のひとつ。都が発表した被害想定をもとに、スペクタクルな破壊描写をシミュレーション的な切り口でたたみかけるクライシス・ノベル…というのが当初の発注だった。が、それはそれで実人生に役立つ情報小説になるとはいえ、情報だけが欲しいなら記事や資料を読めばよい。なにより、恐怖を売り物にしすぎると、問題の本質から視点がずれてしまうのではないかという疑いから、本書は一連の〝季節商材〟とはいささかずれた小説として結実することになった。
副題にある通り、〝いつか来るその日〟を畏み奉りながらも、実際の心構えはなにひとつできていなかった平凡な中年男。御身大切な小市民、状況を変える力などまったく持ち合わせていないこの男が、首都が死都と化す大災厄をいかにして生き延びたのか。そしてここからが重要なところだが、生き延びたあと、いかにして精神的復興を成し遂げたのかーあるいは為し得なかったのか。
政治家や自衛隊、地震学者の対応や知識をシミュレーション的に並べたところで、事の本質は見えてこない。怖いもの見たさや、季節行事に終わらせることなく、〝いつか来るその日〟を肌身で受け止めるべき時が来ている…と、ここ数年、各地で毎年のように起こる震災のニュースを聞くたびに思う。それゆえ、本書は極めて深刻な事態を描きつつも、ひたすら状況に振り回される雑念だらけの主人公に寄り添い、必死になればなるほど可笑しさが滲み出す彼の行状に焦点を当てた。彼が見たこと、感じたことがすべてで、全体の状況はニュースで伝えられるのみ。シミュレーション小説から抜け出して来たような、やたら博識な謎の青年を伴っての道行きには、どこか珍道中的な気分すら漂う。
恐怖は人の思考を硬化させ、笑いは人の情動を活性化する。どこか笑って読んでいただきたい。そして笑ったあと、ほんの少しだけ心を澄まして、〝その日〟の自分に思いをめぐらせてみてもらいたい。
地震は「最後の審判」ではない。最初の段階で生き延びることができたなら、生き続けるためにやらなければならないことがごまんと待っている。それをこの世の終わりと捉えるかどうかは、人の心持ち次第。文中の言葉を借りるなら、「どんなに大地が身震いしても、人の心だけは壊せない。壊すのはいつだって自分自身」なのだから。
筆者やあなたの分身である主人公が救われれば、きっと我々も救われるはずだ。さあ、まずはページを繰って、〝いつか来るその日〟へー

(引用終わり)

第1刷は2007年8月。
読んでの通り、首都直下地震に直面した中年サラリーマンが主人公です。
各章はこんな感じ。
1 大地震発生！どうしよう。
2 線路も道路も通行不能！どうしよう。
3 コンビニで火事場泥棒に遭遇！どうしよう。
4 瓦礫の下から老婆の声！どうしよう。
5 町が、家が、燃えている！どうしよう。
6 築一年の我が家倒壊！どうしよう。
7 生き延びた！…で、これからどうしよう。

主人公の西谷久太郎は、デスクの上に敷くマットの営業マン、42歳。
営業で新宿の都庁を訪れ、エレベーターに乗っているまさにその時、首都直下地震に襲われます。
居合わせた謎の博識青年、甲斐節男(〝かいせつお〟という、なかなかにふざけた名前)に助けられながら、徒歩で京島にある自宅まで帰り、家族と再会するまでのお話です。

首都直下地震が題材ではありますが、直面する内容については普遍的なテーマと言えるでしょう。

現在進行形で熊本の地震、更には阿蘇中岳の噴火に大雨という複合災害が起こっています。
今日の昼間、所用でホームセンターに行った際、非常食などの棚が空っぽになっていました。
まさに福井が指摘する通りの「季節商材」という事でしょうか。
元々防災は関心のあるテーマの一つで、参加するイベントサークルで勉強会も開催しようと話していた矢先でした。
今回の地震を受けて、防災勉強会を前倒し開催するべく調整しているところです。
詳しい日程等は決まり次第、お伝えするつもりです。
とりあえず来月中、名古屋駅付近の会場を借りてやることだけはほぼ決定していますが。

合わせて、こちら↓のムック。