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2016年04月13日21:30

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宮川香山@サントリー美術館

17日までと、もう開催期間も残り少ないので1200円の券がチケショで490円になってたので連れ合いに買ってきて貰った。今日ならもっと安いのではないか

サントリー美術館は、かつては丸の内にあったが、赤坂のサントリービルに引っ越し、現在は東京ミッドタウンの中にある。
今日は若干天気がぐずついてはいたがリカンベントで出かけた。往復37キロ。
GPSの記録を見ると行きも帰りもちょっと間違ってるな。(-_-)
ミッドタウンはちゃんとした自転車置き場があるのがありがたい。地下1階で独立した割と広い空間で、3時間まで無料、あと1時間毎に100円だ。ちなみに駐車場は地下2階になる。

さて、宮川香山というのは陶芸家で、京都の眞葛家という陶業の家に生まれ、明治時代に陶器を大量に西欧に輸出した時代の人物。そのため窯元を横浜に移している。

http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2016_1/display.html

展示はいくつかの年代ごとの作品群に分かれている。
最初は高浮き彫りというが、浮き彫りと言うよりは別途作成した彫刻物を壺なりの本体にくっつけて焼いたような立体物だ。蟹や鳥など実物どおりのリアルな形状の物体が壺に貼り付けてある。
おそらく貼り付けてある物体は空洞で貼り付けた部分と目立たない部分などに穴を開けているはずだ。それ以外にもなんか相当なワザを駆使しないとここまで立体の焼き物は難しい。
それに見事な彩色を施してあってリアルな造詣となっている。
上絵付けではあるが…上絵つけは一旦焼き上がった陶器に彩色して再度低温で焼き付ける。
いわば七宝焼きとかのレベルの温度であるためガラス質の様々な顔料が使える。
本来陶器が焼かれる温度では、そうした顔料は色が変わったり消えたりして使えない。
反面、上薬の厚みが不足しているコトもあって色の深みに欠け、また耐久性も劣る。
例えば金彩などはコレでつける。

その後、購買者である西欧のニーズに変化があり、また彫刻系の作品は手間がかかりすぎて儲からないというコトで、別な方向性を探ることになる。
釉下彩、釉彩という技術体系で、多重の独自の釉薬を用いて深みのある色彩、優れた画力、文様を施した作品群となってゆく。
前述の高浮き彫りにしても加工は宮川香山ひとりが行っているワケではなく、工房方式で数十人の職人が作成に当たっている。

美術展としては珍しく単独の窯もと…言い換えればひとつの会社の製品であり、また作成された目的が西欧への輸出であって、初期においては日本や中国の伝統的なスタイルをとっていたが、消費ニーズの変化に対応して変化してゆく。
高い芸術性は否定できないが、どことなく気品に欠けるような…一部の目利きに合わせたようなレベルからコンシューマーをターゲットとしたようなモノへと変化してきているような気もする。
ワシのようなデザイナーの作るモノは製品で、ゲージュツ家の作るモノは芸術品で区別される。
こういう陶器などの工芸品は、その中間の芸術っぽいテイストをもった製品だと思うが、そのスタンスが揺れていたような感じがするのである。

まあ何にしても明治の日本人はがんばって西欧にモノを売った。それで今日の日本の礎を作ったのだから頭が下がるのではあるが。

この展覧会は冒頭に書いたように17日に終わるが、横浜駅のそばにミュージアムがあるようだ。
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