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2016年04月03日10:27

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言志四録「今日一日をムダにしない」


【書き下し文】
昨日を送りて今日を迎え、今日を送りて明日を迎う。人生百年此くの如きに過ぎず。故に宜しく一日を慎むべし。
・・・・・言志晩録258


以下、田口佳史「言志四録・佐藤一斉の自分に火をつける言葉」より。

私たちは生きている限り、「昨日、今日、明日」の繰り返し。だからこそ「宜しく一日を慎むべし 」―― 「一日、一日を大切にして、一時たりともおろそかにしてはいけない」と言っています。

私はよく「分厚い一時」「分厚い一日」と表現しています。充実して過さなければダメだよ、ということです。

「慎む」とは、身を慎むということで、人の道にはずれたり、人に迷惑をかけたりすることのないように、自分自身を律して生きることを意味します。

どうして、それが大事かというと、「一日慎まずんば、醜を身後に遺さん。恨むべし 」です。人に見られたくないような醜態を演じて、死後に禍根を残すことになるのです。そんなのは、イヤでしょう?

次のくだりに、江戸の学者・林羅山の「暮年宜しく一日の事を謀るべし 」という言葉が出てきます。

一斉はこの言葉を「一見、浅薄なようだが、実は深い」というふうに言っています。言葉通りに読めば「晩年になったら、今日一日のことをよく考えて暮らしなさいよ」となりますが、私は「年をとってもなお、やることがたくさんある」という心境を表した言葉だと解釈しています。

そこから思うのは、「若いときこそ、一日をムダにしないで欲しい」ということです。十年、二十年経てば、イヤでも体力が衰えてきますから、エネルギーに満ちあふれているいまのうちに、できるだけ多くのことを学んだほうがいいと思うからです。

若いころの学びは本当に貴重です。必ず、晩年になって生きてきます。ですから、「暮年」と言わず、若いときから「一日の事を謀るべし」と心してください。


※【全文の書き下し文】
昨日を送りて今日を迎え、今日を送りて明日を迎う。人生百年此くの如きに過ぎず。故に宜しく一日を慎むべし。
一日慎まずんば、醜を身後に遺さん。恨むべし。羅山先生謂う、「暮年宜しく一日の事を謀るべし」と。余謂う、「此の言浅きに似て浅きにあらず」と。




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