▼11打数0安打5三振。野村克也さんのプロ野球人生1年目である。拝み倒してもらったものの、シーズンの終了後には解雇を通告されている。その人が戦後初の三冠王になり、名監督になった。
▼新国劇の名優とうたわれた島田正吾さんは駆けだしの昔、舞台で『千葉周作』の寺小姓を演じた、たった1行ながら、新聞の劇評欄に初めて名前が載った。<島田正吾、観るに堪えず>
▼山中伸弥さんが執刀すると、20分の手術が2時間かかった。足手まといの“ジャマナカ>という異名を先輩医師からもらい、臨床医になる夢をあきらめた。その人がノーベル賞で研究医の頂点を極める。
▼きょうが入社式という若い人も多かろう。希望にも燃える門出には要らざるお世話にちがいないが、何十年か前のわが身を顧みれば日々、挫折と失意と狼狽と赤面の記憶しか残っていない。
▼高見順に『われは草なり』という詩がある、
<われは草なり/伸びんとす/伸びられるとき/伸びんとす/伸びられぬ日は/伸びぬなり>。
草の丈が伸びぬ日もあろう。そういう日は、大丈夫、見えない根っこが地中深くに伸びている。
・・・以上、読売新聞「編集手帳」(2016.4.1)より。
ヨガ教室「かたの健康会館」の本日の日めくりカレンダーの言葉。
大きな樹
形を見るより
根を観たい
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