志は澹泊(たんぱく)を以て
明きらかに、而して節は
肥甘(ひう)より喪(うしな)うなり。
・・・・菜根譚前11
【現代語訳】「志」は淡白な生活で磨かれ、飽食な生活により失われてしまう。
(贅沢な暮しは品格を失う)。
以下、守屋洋監修「菜根譚の教え」より。
今より、もっと上を目指したいという気持ち。俗にハングリー精神とか、雑草根性と呼ばれるような、目的に向かって突き進む強い気持ちは貧しい生活によって育まれます。逆に、高価なものに身を包み、贅沢なものばかり食べるような暮らしは、人から品格を失わせるといいます。
この言葉の前段では、「貧しい生活を送る人はきれいな心の持ち主が多く、贅沢な暮しを送る人は権力者へのゴマすりが好きだ」と説いています。たしかに、恵まれない人に手を差し伸べず、自分の利益のためだけに強者にへつらう、これでは人間としての品格に欠けていると評されても致し方ないかもしれません。
人は誰でも、贅沢な暮しに憧れるもの。おいしい料理や素敵な服への憧れが、勤勉さにつながることもあるでしょう。それ自体は決して悪いことではありません。問題なのは、そうした欲が他者への思いやりを失わせてしまうことです。
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