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2016年04月02日07:53

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言志後録59「進歩中に退歩を忘れず」




晦に処(お)る者は能く顕(けん)を見、顕に拠る者は晦を見ず。
・・・・言志後録64

【現代語訳】
暗い所にいる者は、明るい所をよく見ることができるが、明るい所にいる者は、暗い所を見ることができない。

【付記】
本文は、下から上はよく見えるが、上から下は見えにくいと取れば、上に立つ人の心得と考えられる。

・・・以上、「言志四録(2)」(講談社文庫)より。



以下、「超訳・言志四録 佐藤一斉の自分に火をつける言葉」より。

これは、暗さによる見え方の違いを説明しているのではなく、明るい場所にいる人への戒めといっていい。

「暗がりにも目をやらないと、人間が傲慢になるし、調子に乗って思わぬ落とし穴にはまることもある。だから、明るいところにいても、暗闇に目を開くことがたいせつだよ」
そう佐藤一斉は語りかけているのです。

同じことを「言志後録59」では次のように言っています。

進歩中に退歩を忘れず、故に躓(つまず)かず。

前に向かって進んでいるときに、ちょっと後ろに下がって、前方を見ることを忘れてはいけない。そうすれば、つまずくことはなくなる」とい意味です。

人は順調なときほど、ずんずん歩を進めることしか考えなくなります。それでは「猪突猛進」になってしまいます。前にどんな困難や問題が待ち受けているかわからいのに、それが見えなくなってしまうのです。

だからちょっと後退してみる。すると、前を注意深く見る心の余裕が生まれ、「あれにつまずいたら、大変だ」というような問題点に気づくことができます。

・・・・以上。



以前、日記で鈴木秀子さんの言葉「私たちは苦しみに耐える力だけではなく、幸せに耐える力も必要です」を紹介しました。

たしかに、私たちは逆境にあるときとか、 病気、事故、トラブル・・・等々 この世的な不幸があっても、 それに耐え、立派に乗り越える方は少なくありません。

しかし、出世して名誉、権力、財力を極めたとき、 慢心や驕りになって転落するケースはよく聞きます。

成功したとき、出世したとき、本当の自分というものが出やすいのです。自省と謙虚を常に失いたくないものです。



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