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2016年01月21日13:37

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救急隊員からの電話

電車の中で、ケイタイが鳴った。

今年88歳になる父からだった。
正確には、
「父のケイタイ」
からだった。
車中ではあったが、電話にでると
父ではない男性の声がした。
「娘さんですか?」
声の主は、救急車の隊員だった。
父が、自宅(集合住宅)敷地内で倒れていると通報があり
今、収容先の病院を探している、とのことだった。

昨年夏に母が逝き、
今は、娘の私と父の二人暮らし。
日中、父は一人で家に居る。
年のわりに頭はしっかりしているし
4つの病院に通院してはいるものの
自分の身の回りのことは自分でできているので
私は会社勤めを辞めずにすんでいる。
仕事を終えた帰路、駅を降りて自宅が見えてくると
高層住宅の自分の階を指で数え
ベランダの奥に灯りがともっているのを確認するのが
いつからか癖になった。

そうやって父の安否夫を確認し
ホッと安心するのが日課になっている私にとって
救急隊員からのこの電話がどれほどの驚きだったか
想像して欲しい。

幸い、頭にコブと擦り傷を作った程度で済み
夜遅く、病院から連れて帰った。
カラオケに行って飲んだアルコールが
父の思った以上に回ってしまったのが原因であった。
病院のベッドで
「ごめんな」
を繰り返す父の手を握った。
倒れてからどれほど寝ていたのか分からないが
父の手は冷たかった。

父の名誉のために言うが
毎日そんなことをしているわけではない。
カラオケは週に一度の楽しみ、そんなところだ。
60年近く連れ添った伴侶を亡くした寂しさを
せめて思い出の曲で紛らわす父を責めることはできない。

ホント、大事にならなくて良かった。

父にとって私が
「独りで暮らした方が良い」
ような娘でないことを願っている。



■老後は「1人暮らし」が幸せ 家族同居より生活満足
(産経新聞 - 01月21日 10:09)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=133&from=diary&id=3813724
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