タイトルがやや大げさだが、一応理由はある。
入手してから早くも半年ほど経つ。
最初に聴いた瞬間、思わず声が出た。「いかん」
その後は「やっちまった」だったか「やべえ」だったかは忘れた。
それくらい印象は良くなかった。
切れ込み・シャープさが足りない高域。
実在感がなく、前へ出ない音像。量感も解像度も物足りない低域、と。
普通、何らかの聴きどころが伝わってくるのだが、正直、良さがちっとも解らなかった。
力感不足が最大の課題と見てPC-TripleCの0.9mm単線を使ってみたが、色白の優男が戦闘服を身に纏ったかのようで、ミスマッチだったようだ。
かと言って、そこから前向きに取り組みたいとも思えなかった。
私の中の短評「DL-304の劣化版」。
そのままだったら戦力外通告だったが、年末から威力を発揮し、次々とハードやソフトを復権させている新しいコンセントの効果で何とかなるかも、と淡い期待。
それに本機、モスビンさん宅で、へこさんが高く評価されたそうではないか。
時は来たれりか？
今回ダメなら諦めようとの決意で臨む再試聴。
まず、以前に高域の切れ不足を感じたので、リード線は撚り線のPC-TripleC/EVO�兇�ら入る。
これでも切れ不足だと少々厄介。
結果は悪くなかった。むしろややハイバランスなくらい。低域の厚み、量感が豊かなほうでもないので、方向としては若干高域を押さえたほうがバランスがいいかと感じた。
そこでリード線をPC-TripleC/Premium�兇吠儿后�
かなりバランスは良くなってきた。
同時に透明度も上がってきたし、音場感も良くなった。
この機種は間接音の出方に独特なものがあるようだ。
上手く言えないが、大げさに書くと、接続で疑似サラウンドを作り出したようなアンビエンス。
音像には抽象的な、浮遊するような雰囲気があるのも興味深い。
全体的に連想させるのはやはりDL-304やヤマハMC-100だ。それらより出力はさらに低いし、鳴り方はおとなしい。
スケールはやや小ぶりで、箱庭っぽさもある。
低域は低いほうまで水準的に出ていると思うが、量感は控えめなので、押してくるような鳴り方ではない。
フェーズテックのP-3Gを「ラウドネスON」と言っているが、その逆の方向性。
少なくとも入手当時の存在意義に疑問、というレベルは脱却した。
好みでいうと「もう少し気合を入れろ、ゴラァ」と言いたくはなるが、この機種にそれを求めるのはお門違いなのだろう。
とにかく、お馴染みのテクニカMCから連想される音ではない。悪くいうのではないが、これは売れないだろ。
本機の良さは引き出しにくく、さらにはなかなか伝わりにくいはずだ、ということ。
ここまでTripleCのリード線2本を聴いたが、もう少し実在感、地に足のついた安定感を求めて、STAGE101を試してみたい。
良さが失われるリスクはあるが。
次回はSTAGE101/EVO�兇鮖箸辰討澆泙后�
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