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2016年01月03日20:48

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花鳥風月ワンダーランド 後期

東京富士美術館で、12月25日までやっていた『花鳥風月ワンダーランド』。
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ポスターやら、看板諸々。

結構面白い内容でした。日本画を、花鳥風月で分けて見てみよう!って言う企画展示。
しかし、富士美は、持ってる美術品で、この企画が出来るんだもんな。
富士美は、所蔵品なら写真撮影がほぼOKなので(ダメなのもあるので、表示に注意)、画像を(ガラケーなんで、画像悪いですケドね)貼りながら、ちょいと感想を書いてみる。

展示自体は終わっていますが、一昨年も、日本画関連の展示をやったので、また、似たような内容のものはやると思いますので、その時に見て下さい。今回は、若冲の象さんにまた会えたのが嬉しかった。

ところで、富士美さんは、展示品リストが置いてある時と置いてない時があるのだが、どうしてなのだろう?出来れば置いていてくれた方が助かる。今回は置いてあった。

花鳥風月。中国唐時代に花鳥画は画題を形式として成立したそうな。日本では、安土桃山時代、江戸期に花開く。

まずは、花卉画。草花のみを対象とする絵。果樹は、花木画になります。花卉は中世の頃から画題になった。桃山時代は、狩野派の障壁画などが有名。花のクローズアップよね。江戸は、装飾的な琳派や写生の丸山派などが有名になる。

長谷川派 『白菊図屏風』
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金屏風に大ぶりの白菊。川の流れも描かれている。菊の花は盛ってあるので、立体感があるんだな。

本阿弥光悦(書) 宗達派(下絵) 『草花図下絵和漢朗詠集漢詩』
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光悦は寛永の三筆と言われた書の達人。その達人が、宗達工房の下絵とコラボったもの。光悦が漢詩を書いてます。
『斜脚暖風先扇処 暗声朝日禾晴程』と書いてあるらしい。日本語に直すと、『斜脚は暖風の先づ扇ぐ処、暗声は朝日の未だ晴れざる程』と言うコトだそうな。下絵には、女郎花や菊の花。薄なども。

伝俵屋宗達 『松桜図屏風』
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大きな松と右上に桜。松がベタ塗りで塗ってある感じなんだよな。ドーン!ってデッカイ松。迫力のある絵ですね。

菱田春草 『春秋の滝』
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私の好きな春草さん。左幅は、オレンジ色の紅葉に滝。右幅は右下に桜で滝。春秋の滝の姿ですね。水の描写が好きです。ぼんやりしてて。没線描法が用いられているので、輪郭線がないんだな。日本画は、線の芸術と言われるが、コレにはあえて、線がない。だからか、空気の感じを凄く受ける。

次は鳥。鳥は子孫繁栄という意味があり、近世は、鷺、鶴、鸚鵡、雉、叭々鳥等が良く描かれた。吉祥的な画題だったみたい。でも、難しいコト抜きで、鳥可愛いって描いていたかもね。
花鳥風月においての鳥は、犬猫動物全般で、昆虫、魚、貝甲など生命を象徴とするものとされる・・と解説にあったのだが、貝まで含めちゃうって、随分ザックリしてんだな!って思った(^_^;)。生命=吉兆イメージなんだろうか?
麒麟や龍や風神・雷神などの空想上の獣も含まれるそうな。かなり範囲が広い意味の『鳥』なんだね。

花鳥画は、中国の唐で盛んになり、宋時代に自然観照と抒情性を特色とする芸術になったそうな。日本では、南北朝時代に宋へ渡った禅僧によりもたらされた。室町時代は、彩色の花鳥画が主流。桃山時代には、障壁画。江戸期には狩野派や土佐派、琳派、南画、丸山四条派などなど、沢山出て来る。

土田麦僊 『紅葉小禽』
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紅の紅葉に小鳥。下の幹にとまる鳥が下を向いているのが可愛い。色彩が美しく目をひきます。

狩野派 『老梅に鶴図屏風』
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室町後期〜明治初期まで、400年続いた狩野派。創始者は室町幕府の御用絵師、狩野正信。左に立って右を向く鶴。中央に3羽立っている鶴。飛び立とうと羽ばたく鶴もいる。子供の鶴もいる。右には梅。金の雲も見える。左の鶴が半目に見えてちょっと笑う。

長澤芦雪 『海棠に雀図』
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芦雪は、応挙の高弟だったらしい。自由奔放な性格だったみたい。若冲や蕭白と一緒に奇想の絵師って言われる人だね。海棠と戯れる雀。海棠の下には亀もいる。亀は海(かな?)を見つめているみたいなのだが。海には魚もいる。そして、雀は「魚いたー!」って言う顔をしてるように見える(笑)。この辺りの表情の豊かさが、芦雪なんじゃないでしょうか?

山本梅逸 『四季花鳥図』 
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鳥の楽園という感じか。孔雀、雉、鶉、白鶺鴒等々の鳥たち。花は芍薬、桜、梅、海棠、牡丹等々。下方から夏、秋、冬、春の流れで季節が変わっているそうな。左のデッカイ孔雀がとても目立つ。孔雀も吉兆だったよね。おめでたい鳥。

伊藤若冲 『象図』
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若冲の象さん。前回の日本画展の時に、初お目見えした若冲の象さん。今回もおりました。目元が凛々しい若冲の象さん。しかし、何で真正面から描くんでしょうね。若冲って、鶏の絵もそうなんだケド、動物を真正面から描く絵が多いんだ。真正面が好きだったのかなぁ?
目元にシャドウが入ってるんだよ。アイシャドウ象さん。そして、この足はどうなってるんだ(笑)。足がグルグル渦巻きっぽい。背景は黒なのだが、コレは、拓版画の効果を肉筆で表現したのではないか・・と解説にあった。私の大好きな1枚。

鈴木其一 『風神雷神図襖』
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琳派では、お馴染みの題材、風神雷神。抱一や宗達は屏風に描いたが、コレは襖。襖4面に各々描いている。風神の風の表現や、雷神の笑い顔が見どころかな?と。
琳派誕生400年だからか、これだけ、黒い背景の、プチ別室みたいな感じで展示されていた。

動物画。桃山以降の障壁画に、龍や虎や獅子が神格化して描かれるようになる。江戸期には本草学の発達で、珍しい動物も描かれるようになる。

竹内栖鳳 『獅子』
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えらく斬新な屏風だったな。金屏風。左隻に椰子の木。右隻に椰子と獅子(ライオン)。ライオンがのっそり椰子の隙間から出て来る。一瞬「え?これ、栖鳳?」って思った。でも、獅子の毛並を見ると「間違いなく栖鳳だ〜!!」って思う。だって、この毛並のホワホワ感(笑)。触ったら柔らかそう〜(実際の獅子の毛は固いよね?)。 獅子の目は緑色で、思わず班猫の絵を思い出す。空間を広く使っているのも、ゆったりしていて良い。
欧州から帰国した栖鳳が3か月後の第7回新古美術品展へ出品した獅子に連なる連作が本作らしい。他の獅子はセピア色調らしいのだが、コレは、セピアではなかった。

小林古径 『兎図』
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スッキリ画面の古径の兎図。水仙に、上を見上げる白兎。良く見ると、兎の眼と耳に金を使っている。白でヒゲと眉毛(?)も描きこまれている。細かい。

ここで、突然、お駕籠が出て来る。特別出品の工芸品で、『伊達家唐草蒔絵乗物』 
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キンキラキンの乗り物だった。伊達家の家紋の竹と雀と三引丙が駕籠に描かれている。内部には牡丹や芍薬、松に鶴が描かれている。天井には花卉。伊達家の女性が実際使っていたお駕籠らしい。内部に背もたれクッションのような物が装着されていた。
しかし、確かに豪華だけど、これ乗ってて落ち着かないんじゃないか?とちょっと思った(^_^;)。それは私がド庶民だからだろうか?

次は風コーナー。日本の季候と四季に水墨画技法との融和がある。
山水画は、日本では鎌倉時代に生まれた。鎌倉末期の周文、室町に明に渡り、宋元画を学んだ雪舟により確立したんだそうな。桃山期には花鳥画同様に武家屋敷の障壁画になり、狩野派や奇想の画家の蕭白や、谷文晁らの文人画などでも描かれた。

曽我蕭白 『山水図』
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深山の風景。手前に橋。川。山には庵が見える。川の荒らしさが目を引き、橋の上には人もいる。
奇想の画家と呼ばれる蕭白さんですが、これは真面目な水墨画に見えた。

谷文晁 『青緑山水図』
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深山幽谷の蜀の桟道。群青、緑青、代赭を使って描いた木々や紅葉。文晁は八宗兼学の理念の元、中国画、洋風画、土佐派、琳派など、多くを学んだ。後に彼は、老中松平定信の近習になった。この絵は、乱世期と評された時と同じ頃の物なんだそうな。
コレを見る限り、乱れてばかりじゃなかった・・・というコトなんでしょうかね?
彩色の山水図なのですが、ちょっと洋風な香りもします。

次は風俗画が出て来る。風俗画はやまと絵の中で育まれた画題。平安期は季節や月ごと詠まれた歌や花景色などを配した四季絵から始まり、行事や名所、景物画へ変わって行ったそうな。

狩野派 『葡萄棚図屏風』
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胡粉で盛り上げて彩色している。葡萄は当初は銀色だったのかな?酸化した?金色の葉と装飾的な雲。下には流水。土坡も描かれている。画面に奥行があって面白かった。

狩野派 『洛中洛外図屏風』
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右隻には、花見客や物乞い、祇園祭の長刀鉾、茶屋、牛引きの姿など。喧嘩してる人物や、楽器を持って歩く人物も見える。左隻には武士の隊列風景や、帯屋。北野天満宮や上賀茂神社、西本願寺などの名所も見える。引き車に乗せられた人は足が悪いんだろうか?
この屏風は、細かに何が描かれているか解説があったので、その解説と照らし合わせて観られて良かった。

狩野派 『唐子遊之図屏風』
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その名の通り、唐子が遊んでる様子を描いている。碁を打ったり、踊ったり、舟遊びをしたり、鳥遊びをしたり。鳥と遊んでる唐子は、鳥に紐をつけて持っている。鳥の散歩か?滝を見てテンションが上がってる唐子もいる。輪になって踊ってる唐子もいる。
屋敷の中に目を移せば、文を書いている唐子もいるし、寝転がってる唐子もいる。
唐子の楽しそうな様子が伝わってくる。こういう屏風は、楽しい気分の時に使ったのかな?

花鳥風月、最後は月。万葉集を初め、多くの和歌にも月見=秋に准えて描かれる。中国から伝来した代表的な画題に、洞庭湖を中心とした『瀟湘八景図』があり、その中の洞庭秋月では、湖上に浮かぶ月が描かれる。日本では、これに四季を組み合わせた四季山水図へ発展する。

鈴木其一 『萩月図襖』
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向かって右に紅い萩。左に白い萩。構図は対角線上になっている。花房と葉の表現には輪郭線はなく、色の諧調を作る付け立ての技法が用いられている。葉の葉脈に金泥が使われている。左上に銀の月。背景には銀泥も使われ、それが薄闇に見える。銀泥が効果的に使われているな・・と思ったのだが。

作者不詳 『武蔵野図屏風』
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武蔵野の野原。薄に桔梗。右隻の草の間の黒丸は、草の間に沈む月だそうな。当初は銀色だったが、変色した。月を下に描くって面白いな・・と思った。変色して黒丸になったから、ちょっとブラックホールのように見える。奇しくも前衛的な屏風になっちゃった(^_^;)。

川端龍子 『雪月花・池心(月)』
水の中をゆったり泳ぐ鯉。鯉の上には水面に映った月があり、さながら光輪のように見える。面白い構図。

横山大観 『夜桜』
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第1回雪月花展の出品作らしい。京都祇園にある円山公園のしだれ桜の絵。薄闇の中に浮かぶ桜。手前にはかがり火があり、左右には松の姿も。

このコーナーは、川合玉堂の雪の絵もあり、三点で雪月花になっていた。

お土産はポストカード6枚と、若冲の象さんクリアファイル。でも、ここに展示してあった象さんグッズはポストカードしかなかった。トートバックもあったけど、絵柄は其一の風神雷神と応挙の犬だった。ここの象さんは彩色じゃないから、地味だからかな?

この展示は終了しましたが、また、日本画展はやると思うので、機会があれば、行ってみて下さい。
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