この手の記事によくつくコメントは、介護士の給料上げろというものだが、話はそう単純ではない。
要介護老人の増加に対して、施設や人手が追いついていないのは事実だが、そこで雨後の筍のように老人ホームを増やしても粗製乱造になるだけだろう。
量は増えても質が低い業種に対して、やたらと高い給与を保証すると、悪徳業者やチンピラ労務者が集まってしまう。需要の増減が激しい業種にはよくあること。
使える地面の面積や、輸入する資源の量に影響される農業や工業は、そんなに急激な需要の増減はないが、実体業務ではないサービス業や情報産業は人手の需要の急激なアゲサゲが起こり易い。
そのため、水商売・風俗、タクシー、IT、アニメーターなどは、不況な時は腕があっても雇用先がなく、好況になると頭数だけで質が急激に低下する。
これから先、団塊世代が要介護の年齢に突入して行くと、さらに老人ホームや介護士は足りなくなるが、徒に基本給を上げると、利用者はやたらと高い金を払うけど、業者が吸い上げてしまったり、高い給与取る割にはロクな働きをしない介護士が出て来る。
それに対してクレームを入れても、イヤなら他所にいけ、こちらは忙しいんだ(怒) と突き返されることになる。
かと言って介護を公務員でやることにすると税金がうなぎ上りになり、消費税は15%でも足りなくなると思える。
かつ、公務員はいったん雇用したら、需要が減ったからと言って解雇は出来ないので、団塊世代が寿命に達して需要減になった場合は、公務員介護士が不良債権になってしまう。
高齢化対策は実に厳しい問題で、日本より高齢化が先に進行している韓国では、とっくに財源は破綻していて、それで独身税を導入しようとしたら、国民の猛反対を受けて立ち消えになった。
結婚すると義父母の介護をやらされるから、女性はそれを嫌がって結婚しなくなり、親の介護は長男の負担になったので、介護疲れで長男の自殺が急激に増えている。長男の嫁ではなく。
市場原理に任せた流れにしていると、間違いなく韓国と同じ状況になる。近年、韓国で流行ったものは、1、2年後に必ず日本でも流行っている。
介護を家族にやらせれば家族が潰れるし、業者任せにすると粗製乱造で質が低下し、役所がやると税金がどんどん上がる。
では福祉先進国の北欧はどうしているのかというと、老人はなるべく家族には依存せず、自分で出来ることは極力自分でするようにしているとのこと。
また北欧では延命治療はほとんど行わないそうだ。なので寝たきり老人もほとんどいない。
老人はみんなに保護されて世話されて、ぎりぎりまで長生きするという扱いではないから、老人が自立して生きているとのこと。
つまり丸々補助するのではなく、自立して生きられるだけの補助はするが、なるべく自立して生きるようにしているということ。
これは老人福祉以外でも通じることで、日本の生活保護は、働きながら足りない分を補助というものではなく、生活保護をもらうなら一切収入があってはいけない、つまり保護をもらうなら働くなという方向になっている。
これだと一生保護にブラ下がるつもりの人はともかく、働く意志がある人を潰してしまう制度になるし、いったん保護に入ったら自立し難い制度だと、どんどん財源(税)の負担が厳しくなる。
手助けはするけど、丸抱えの保護や扶養はしない方針にしないと、遠からず立ち行かなくなるだろう。
それは老人についても、乳幼児についても、母子家庭についても同じこと。
■衣服に汚物・手回らず無視…老人ホームの質、見分け方は
(朝日新聞デジタル - 11月08日 19:54)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=3702815
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