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2015年11月08日16:27

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秘仏の御開帳に寄せて

11月6日金曜日 晴れ

この日の目的は、
特別公開中の京都・木津川の海住山寺(かいじゅうさんじ)と
その近くにある笠置寺の磨崖仏、
そして、33年に一度の御開帳中という伊賀の観菩提寺。

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車が一台ギリギリで通れる山道を、
徒歩で向かう拝観者を脇へ追いやるように徐行し
最初の目的地 海住山寺へ。
同年代か少し先輩に見える方々には申し訳ないことでした。

海住山寺 五重塔(国宝)
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特別公開期間中につき、塔の中へ入ることができました。
塔の中心にある御厨子の仏舎利の四方を
四天王がお守りしています。
壁や天井の極彩色文様が、目にまぶしくない程度に残っていて
東西南北の四面とも、とても美しく重厚な感じ。

この塔は心柱が初層で止まっていて
初重にのみ裳階がある意匠が珍しいということで有名なのだそうです。
創建以来、800年の長きに亘ってその姿を維持しているのですから
基礎杭が堅い地盤に到達していないとして
今、世間で大問題になっている例のマンションを思うと
なにか不思議です。

本堂でご本尊、十一面観音立像を仰ぎ、
とてもとても優しい眼差しに触れ
不意に目頭が熱くなりました。

また、五重塔とは別の、修復を終えた四天王像(重文)が見事で
通常は奈良国立博物館に展示されているこの立像を
この時期に、このお寺で拝観できた幸運に感謝しつつ
しばし見入りました。
小品ながら、足元の邪鬼の瞳までキッチリ手抜きなしの作で
現代風の細身な武将姿の四天王でした。

本坊からの借景
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重文を充分堪能(スミマセン)し、次の目的地・笠置寺へ。

無人の笠置寺の裏は見事な巨岩群があり、
磨崖仏を間近に拝むことができます。
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手を伸ばすと仏様のお膝辺りで
太陽光に暖められた岩肌が温かかったです。
大きい磨崖仏ですが、デッサンがしっかりしていて
石工ではなく、木仏師が彫った、
それも名のある工房によるものなのではないかと思いました。

笠置寺正月堂の足元はまるで清水寺のよう。
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せせらぎと鳥の声を背中に、
本日のメインともいえる次の目的地・観菩提寺へGO

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山門には、あ・うんの仁王像が
外向きと内向きに二組が背中合わせにありました。
こういう山門は初めて見ました。

そと向きのあ形像、すごい迫力。
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33年ぶりの秘仏の御開帳とあって、境内は賑わっておりました。
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 『 秘仏とは
   霊験あらたかな為、
   平素は目のあたり直接に拝することが憚られるので、
   厨子内に祀られ扉が厳重に鍵をかけられている 
   みほとけ のこと 』

と、パンフレットにはあります。
いくら厳重に鍵をかけても、虫は入り込みます。
実際、いざ御開帳というだんになって、
ひどく虫に食い荒らされていたことに初めて気づいた、
などというお話を聞いたことがあります。
小さなお寺などは、その対策として、
仏像の足元に防虫剤を敷き詰めていたりします。

なので、木造の仏像を何年も人の目から隔離してしまうことには
私はあまり感心しませんでした。
というか、むしろ秘仏として仕舞いこむことには反対でした。
それに、なんだか勿体ぶっているようにも思えたのです。

霊験あらたかなら、拝することを、なぜ憚らなければならないのかしらん?
という素朴な疑問もありました。

しかし、
御朱印帳をお願いしに寺務所へ寄った時
常ならぬ人出に大忙しのなか、
ご丁寧に筆を走らせる地元の篤志家や
境内で草餅を売ったり、本堂でロウソクの番をする方々を
見るともなく眺めていて、ふと、思いました。

お願い事は一生に一つ叶えばよい。

地元の方々は、そう思っておられるのではないか。
33年といえば、ちょうどひと世代。
霊験あらたかな仏様が必ずお聞き届けて下さると信じ
この日を待つ。

仏様と、謙虚にお守りする方々の信頼関係。
『足るを知る』という思想も見え隠れしているようにも思えます。
なんと美しい習慣だろう。。。



万全な虫食い対策と共に、この習慣がいつまでも続きますように。


でも、でも。
仁王様といい、ご本尊といい、
ここのお寺の仏様の御尊顔は、ちとコワイ。


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