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2015年11月07日23:42

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世間の果てのアルペジオ

今日はかなり無為な一日を過ごした。

風邪をひいちゃってね。 喉がいがらっぽくて、咳がゴホゴホの典型的な初期症状。
 
なので、週末恒例のろまさんとの昼飲みを自粛して、部屋でうだうだ過ごした。 

でも、そういう中でも寝床でセケハテの新刊の3巻を読めたのはよかった。


話は今週水曜日に遡る。

総帥から至急協議したい件があるとの社内ランが入った。

で、僕は自分の部の会議室に総帥を招じ入れた。


総帥 「アルペジオの公開が今週で打ち切りのようだ」

僕   「恐れていたことが・・・今週中に見ねば」

総帥 「と言うと思って、バルト9の金曜日の席を仮押さえしといた。ただし上映開始は5時半だ」

僕  「時間休が必要ということか」

総帥 「然り」

僕  「ちょっと待っててくれ」


で、僕は会議室を出ると、庶務係の女子に勤務管理簿をもらい、金曜は2時間早く早退する旨を書き込んで、部長の席に赴いた。

「ええと、所用ができたんで、明後日は2時間ばかり先に早退させてもらいたいんっす」

もちろん、にこやかにハンコをもらえた。 一応、普段はマジメにやってるんで。

で、総帥も自分の部に戻って、同じ手続きを行った。

彼の場合は上司から、年休を余し過ぎだという配慮ある一言までもらったそうだ。



元々は僕らはアルペジオをもっとずっと前に鑑賞してたはずだった。

しかし、同じ時期に「屍者の帝国」が封切りになった。

で、僕らは「屍者」の方が一般受けしそうもないし公開期間は短かろうと想定し、こっちを優先して鑑賞した。

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で、アルペジオはその後適当なときに見ようということにしてたんだけど。

総帥の出張が立て込んだり、僕が風邪で病欠したり。

うちとこのカミサンが台湾旅行に出かけたために、僕が猫のまりんのご飯当番として早帰りしなくちゃならない身の上になったりでねえ。

間合いを逸したまま、ずるずると一ヶ月ほどが経過しちゃったわけだ。


えっ、アルペジオってどんな映画なのかって。

それはまあ、おいおい紹介します。


とにかく昨日の金曜日、我々は周りの連中にじゃっ、これで!と言いおいて職場を離脱し、丸ノ内線銀座駅で落ち合った。

で、新宿三丁目で降りて、ヲタクの殿堂映画館バルト9に着いたわけだ。

で、無事に発券手続きを終えたんだけど。 なにしろ、早引きしたので時間がある。

で、バルト9と同じビル内のマルイをぶらついた。

最初は1階の猫グッズコーナーに寄った。

総帥 「この猫手袋は優れもんだ。指先がスマホ対応になってる。カミサンに買ってくかな」

僕  「奥さんは猫派なの?」

総帥 「いや、犬猫両用。なにしろ実家はペットショップなので」

僕  「すごっ。うちは猫一途だ。このちっさいガラスの置物なんかいいかも」

とか言いつつ、結局はあんまり安易にこういう贈り物をしてると効果が薄くなるということで意見が一致して、今回は見送ることにした。

まあ、ここはこれからもしょっちゅう来る機会があるしね。


で、その上の階のアニマルグッズの店も冷やかしたあとで。

そのまた上の本命の階に行った。

そこはプラモ屋とかヴィレッジバンガードとかが入ってるフロアなんだ。

そこのアニメイト的な店での会話。

総帥 「のんのんびよりのこのクリアファイル、マジに欲しい」

僕  「俺はこのガハラさんバッヂかな」

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周りは若者ばっか。 その中で交わしたスーツにネクタイ姿のおっさんらの会話とは思えまい。

まあ、これらのグッズも理性が勝って購入は見送ることにしたけど。

そこには書店コーナーがあるので、僕が思いついた。

僕  「ここなら懸案のセケハテがあるかもしれない」

総帥 「なるほど、期待薄だけど探してみよう。っつうか早速あった」


という顛末でゲットしたのがこのシリーズの第3巻だったわけだ。

セケンノハテマデ  サライネス著

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この漫画はねえ、メジャー雑誌コミックモーニングの連載だし、同誌常連作家のサライネスの新作だしで、もっと知られてていいはずなんだけど。 

世間的にまったく知られてない印象がある。

実際、これまで地元の紀伊国屋や中野のまんだらけや新宿のブックオフでも探したんだけど、どこにも置いてなかった。

まあ、アマゾンを使えば一発でゲットできるんだろうけど。

僕は自分を知ってるので、あれで漫画や小説をオーダーし始めたら家が本の山になるのがわかってるので、リアルな書店でしか書籍は購入しないことを不文律にしてるんだよ。 


で、やっとゲットできたセケンノハテマデ、通称セケハテを今日の午前中、猫のまりんが寄り添ってくれる寝床でぐだぐだと読んだわけだ。

相変わらずよかったよ。


どんな漫画かというと、主人公らはライブハウスからスカウトされてレコード会社からアルバムを出してるんだけど、メジャーまではいかなくてそこそこやってるロックバンドの4人組。

なので、こういうマニアックな会話がしょっちゅう出てくる。

「曲のタマがないときは何やってたん?」  「トミー・ボーリンとか」

「ドラムが嫌がるピエール・ムーランズ・ゴングとか」 (タイコがいそがしいからーらしい」

「お前泣いてたじゃん、ブラッドフォードの5G」  「アー、アレね」

「ニュークリアスとかコロシアムとか」  「ナ、何で妙なとこばっかしやってたんや??」

この会話、全解読できる人、います?  僕は無理。


あるいはこの人のことはさすがに知ってるけど、そうはいってもこの会話にはついていけない。

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「アタシ的にはソロになってからの」  「ロードゲームス?」

「違う違う。ウォーデン・クリフタワーとか。メンオブタインの曲とか。C・ワッカーマンの曲とか」


ということで、セケハテの主人公高木モーちゃんが敬愛してやまないジャズロックというかフュージョン界の雄。 高木くんだけでなくかのエディ・ヴァンヘイレンも敬愛してたというアラン・ホールズワースのプレイを一つ。 ちょっと長めだけどいい感じだよ。

トウキョウドリーム アラン・ホールズワース



https://www.youtube.com/watch?v=QBgeCrP4xA4


というような紹介の仕方をしたので、知らない人はセケハテってマニアックでとんがってるロックの漫画かと思ったかもしれないけど。

まったくさにあらず。 これ以上はないゆるゆる漫画なんだ。


もちろん、業界事情に精通してないと描けない作品ではあるんだけどね。

僕はこれを読んで、「出待ち」とか「対バン」、「スタインバーガー」などの用語を知った。

まあ、この辺りは常識の範囲かもしれないけど、たぶん通が読んでもにやりとするシーンが満載だと思う。


一方で、今回買った3巻の帯のキャッチコピーはこれ。

「1,2巻より女子率と猫率、やや高めになってます」


サライネスという作家(女子)は常に猫を出してくる。 相当な猫好きであることは間違いない。

セケハテにもヨンジー(本名:4G63)とジングウ(同:神宮)という猫がしょっちゅう出てきて。 

それらの描写が猫を飼ってる者には、たしかにあるあるのてんこ盛りでたまらんのですわ。

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猫という生き物は基本的にグダグダしている。

で、セケハテのバンドの連中もやけにグダグダしていてそこが魅力になってるんですわ。


あとはこれもサライネス作品の特徴なんだけど、東京人と大阪人のコラボが絶妙なんだ。

東京人というのはほんとの混じりっけなしの東京人。 具体的に言うとド都心育ち。


つまりさ、葛飾とか墨田とかの東のエリアの人らは、東京人というよりは江戸っ子としてキャラが確立している。

ところが西のエリア、練馬とか杉並とか世田谷とかの一般には東京人と言われる人らは、なんというか千葉や埼玉と同じ近郊住宅街の住人という感じでねえ。

ありていに言うと、キャラが立ってない。 東京人というよりは東京周辺人という感じなんだ。

僕自身が世田谷生まれの八王子育ちという東京周辺人にして、その後全国各地を転々としてきて色んな人と交わってきてるので、ある意味クールにそういうことが言えるんだけどね。


セケハテはド都心、かの赤坂に親の代から住んでる連中が主役陣なんだよ。

その中に生まれは大阪というのが何人か混じり込んでいて、これが絶妙なハーモニーを生む。

リードギターのモーちゃんの実家は赤坂の料亭、ヴォーカルのワカベンの実家は大阪から赤坂に引っ越してきた建築家で二人はそこの中学の同級生。 ベースのシロちゃんとドラムのタイチロさんのイケメンハーフ兄弟の実家は横浜の喫茶店という設定になってる。


これは意外とよいあんばいの設定だと思う。

つまり、東京周辺人というのはいくらでもいるし、なんかこう輪郭がぼんやりしてるのでキャラ設定として弱い。

鹿児島とか青森とか沖縄出身というと、それだけで一定のイメージが喚起されるのと対照的だ。

でも、同じ東京でも、ド都心、例えば世に言う番町小→麹町中→日比谷高みたいなところで育った人というのは、少なくとも僕はほとんど知らない。

そのように生態自体はあんまり広く知られてない。 でも街並みは大抵の人が知ってる。

となるとね、自由にキャラ設定できると同時にド都心の生活ってこういうもんなんだ、そこで育つとこういうキャラになるんだと、なんとなくの説得力を生み出すことができる。

まあ、一連の作品を読んでると、サライネス自身はまず間違いなく大阪出身にしてそういうド都心部での生活の経験者でもあるので、説得力もあるんだとは思うけどね。


さて、やけに長い道のりになっちゃったけど。

ここからやっと、昨日のメインイベントの話になる。

総帥と僕がバルト9で鑑賞した作品はこれだった。

劇場版 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- Cadenza

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なんだけど、一日寝てて大分回復したとはいえ、風邪の身に夜更かしは禁物なので、さらっとだけ紹介すると。

えがったあ。

最初にいきなり少年画報社70周年記念と出てくる。

そうすると、僕みたいなオールドファンはなるほどと思うわけだ。

少年画報といえば少年キング、といえば青の6号。

で、アルペジオの主人公たち、謎の霧の艦隊に対抗する部隊は蒼の艦隊なんだよ。

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で、現代の若者を魅了しているアルペジオの作劇にはマイッた。 ラスト近くの盛り上げ方がねえ。 昔ながらのシリーズものの定石通りなんだけね。 

つまりかつての敵が味方になって新たな敵に一致団結するというパターン。

それが三段蹴りだったんだよ。 あるいはトリプル・クロスカウンター。

主人公らが敵艦隊に囲まれて窮地に陥る。

そこに敵にとっては予想外の助っ人が来て、出鼻をくじく。 

この救援はまあ、かっこよかったけど極めて想定内。

しかしまだ敵が優勢。 そこにまたもう一組の助っ人が来て敵を蹴散らす。

これもまあ想定内ではあったけど、この辺から盛り上がっちゃってさ。

でも、敵の旗艦が出張ってくるとまた劣勢になる。

そこでねえ、第三の助っ人、それまで舞台にまったく出てきてなかったのがいきなり来て、ガツンとくらわしてくれるんだよ。  もうこの辺で感極まっちゃった。


で、ファイナル。 戦艦大和vs戦艦武蔵の壮絶な大海戦が始まる。

という話なのでした。


特筆すべき点としては、テレビシリーズとその劇場版総集編の最後の付け足しを消化してない者には、なにがなにやらになりかねない。

僕はこういう作り方を好む。 前から見てない人がわかんなければそれでいいし、的な感じね。


総帥とは上映がハネた後、恒例の西口のサイゼリヤでワインのマグナムボトルをぐびぐび飲みながら本作のよかったところ、今後の計画などを語り合った。

で、大阪にいる仲間の通称巨乳派、大分前にアルペジオを映画館で鑑賞済みながら、ネタバレに気をつけた感想を送ってくれてた彼にえがった!というメールを送って別れたのでした。

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