自分と他人とは、顔も違えば気性も違う。好みも違うそれでよいのである。違うことを嘆くより、
その違うことの中に無限の妙味を感じたい。無限の豊かさを感じたい。
そして、人それぞれに力を尽くし、人それぞれに助け合いたい。
世の中には、いろいろな人がいます。会社も同じです。
人間は誰でも、自分と周りは同じ価値観を共有していると思いがちですが、そんなことはありません。バラバラでまとまりづらいのが、当たり前なのです。
心理学を少し勉強すれば、そのことがよく分かります。自分の価値観が、どうして世間に通用しないのか ? と悩んでいる人は少なくありません。けれども日本人だけでも1億2700万人います。1億2700万通りの価値観があるのです。だから分かってもらえない。
「理解は偶然、誤解は当然」という言葉があります。わからないのが当然で、理解してもらうのはとても難しい、それが世の中なのです。
例えば家族、親子、みんな近い関係なのに、お互い分からないこともたくさんあります。もともと根源的な価値観がそれぞれ違うからです。
バラバラなのは、面白いことです。無限の違いがあるからこそ、無限の豊かさがあります。それが分からないと、自分の意見が通じない世間のほうが悪いと、人生を否定的に見るようになり、ストレスがたまる一方です。
人それぞれに価値観が違っても、いいところがあれば、悪いところもある。あなた自身もそうです。いいところを使い合って、それぞれに力を尽くし、助け合っていくのが、あるべき人間関係なのです。
よそでは欠点でも、内では長所になる
人は勝手なもので、自分は不完全なくせに他人に完璧を求めます。完璧なんてないのです。欠けているのが自然で、合わないのが普通。違いの中にある、お互いのいいところを生かしていくこと。それによって、社会が発展し、楽しく生きてゆけるのです。
小さな違いを、すごくうるさく言う人がいます。もちろん小さなことをおろそかにしてはいけませんが、大局的に見れば、優先すべきことはいくらでもあります。
小さなミスや違いは、ほどほどに注意して、お互いにいいところを褒めて伸ばしていきたいものです。そうしないと、人は育ちません。
違いを絶対に認めない、小さなミスも見逃されないというふうに厳しくやっていると、こじんまりした人ばかり育って、そのうち事なかれ主義がはびこります。
そういう意味では、幸之助さんが元気だった時代の松下電器は、柔軟性があったと思います。全体的に理念や方針は統一しながら、発想は社員の自由にさせていました。
他社ではそんなに優秀ではなく、文句ばかり言っていると評判のよくなかった人が、意外なほどいい成績を出したそうです。幸之助さんは「よそでは欠点でも、内では長所になる。それは、短所は気にせず、長所だけ、特色だけ見て使うということがあったからだ」と言われています。
幸之助さんは、長所で人を見たそうです。
松下電器は、人の長所に賭けることで成長した会社とも言えるでしょう。
会社の理念はきちんと守りながら、社員はそれぞれ自由にやらせる。
「規律の中の自由」です。難しいことだと思いますが、いい会社をつくっていくには、それが不可欠です。
・・・・小宮一慶「松下幸之助パワーワード」より。
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