小宮一慶「松下幸之助パワーワード」より。
商品をわが子と考えて思いを入れこめば、
「ここをもっとこうしてくれ」と商品の声が聞こえてくる。
それが聞こえるほどの境地に達しているか。
この言葉は、自分の仕事にどれだけ真剣かを問うていますね。商品やいただいた仕事をわが子と考えるほど、真剣に取り組むということでしょう。
私が信頼しているある出版社の編集者の方は、自分の手がけている原稿を抱いて寝るらしいです。つくりあげた作品に心底惚れ込んで、たくさんの人に届けたい。そいう気持ちがあるから、抱いて寝たくなるのでしょう。
その話で思い出しましたが、かつて松下電器で製作した電池の性能が悪く、電球が点灯しなかったことがあったそうです。製造工程には問題はないはずで、原因は不明でした。
すると幸之助さんは、その電池を抱いて寝ました。そして話しかけたのです。
「君はせっかく電池としてこの世に出てきたが、今のままでは世の中へ出て行けない。どうしたらよいか、ひとつ教えてくれんか」(『松下幸之助翁82の教え』)。
電池に言葉をかけるなんて、馬鹿げたことと思われるかもしれませんが、本物の真剣さや熱意があるとそうなるのです。そして電池が、幸之助さんに答えてくれたのです。
「ぼくをお湯で煮てくれ、お湯で煮てくれ」と。
その言葉に応じて、幸之助さんは鍋に湯を沸かし、電池をしばらくグツグツ煮ました。その後、水気を拭き取って電球に繋いだら、見事に点灯しました。
この話は事実だそうです。
幸之助さんは、わが子のごとく、つくったものと共に眠り、その声を聞き取れるほど愛情を持って、真剣に取り組まれていたということです。
私の知り合いの、ある大成功された経営者などは、「夢に仕事が出てこないような人間はダメだ」と言われていました。
一方で、「会社から自分のやりたくない仕事を振られても、真剣にはなれない」という人もいます。本当に成功している人は、「やりたいことをやらせてもらえない」などと、甘えた考え方はしません。素直に真剣に、物事をとらえて、与えられたことに熱中しています。そうしているうちに、自分の得意な分野のやりたい仕事が与えられるようになるのです。
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