幕藩体制

司馬さんの本を読んでいてたまげたところは、自分が幕藩体制というものに対して理解していた事が大間違いだったという点だ。

三百諸侯といわれる諸大名はほぼ独立国のような存在で江戸在住時に使われた藩邸は今でいう大使館のように扱われていたようだ。だから奉行所という警察組織は各管轄地においては当該市民を取り締まる事を任務としていたので各藩藩士は取り締まり対象外の為介入が許されなかった。

この理解なしに幕末の志士達があのように動けた理由は得心できない。また、脱藩者が出身藩の庇護を受けられない苦労も分からないだろう。

徳川幕府は全国制覇したと言っても諸外国におけるようにリアルに旧主を殺戮して取って代わっただけではない。幕府成立時に全国武力制覇を成し遂げたとは言え、力関係もあって身内や普代だけで全土を管理しきれないのでそれまでの領主による領地の支配・管理を認めた。それで外様の諸侯が残った。

幕藩体制を強制終了させるべく明治維新の号砲を鳴らしたような戊辰戦争も天皇を懐に入れてしまえばそれで「勝ち」ていう外形的には天皇の取り合いだった。