先週、バンコクに出張してきた。
万国博覧会じゃないよ。 Bangkok、タイ王国の首都ね。
現地時間で2泊3日、日本時間だと帰りが朝の6時羽田着の2泊4日という中々の旅程だった。
発端は先月のある日だった。
国際部の課長さん(女子)が僕の席につかつかとやってきて、いきなりこう言ったんだ。
「タイに行きたくないですか?」
僕は即座に答えた。
「まったく行きたくない」
そしたら、彼女が心外そうな顔をしてねえ。
「ええっ?出張で海外に行けるんですよぉ。私だったら絶対行っちゃいます」
「そりゃあんたはそうかもしらんが、俺は全然行きたくない」
そしたら、彼女が困った顔をしてねえ。
わりかしかわいい女子だし、助け舟を出さざるを得なかったわけだ。
「いや、行きたいかと聞かれれば行きたくないけど、業務上の要請なら行くしかないよ」
そしたら、彼女の顔が明るくなった。
「なしごれんさん担当ジャンルのミーティングなので、是非行ってもらいたいんです。役員に上げますね」
「でも、俺は根っからのマルドメだから、英語×だよ。ほんとにそれでいいの?」
「大丈夫。ミーティングは英語なしのタイ語オンリーで通訳がつきますから」
ということで決まっちったわけだ。
ああ、ちなみにマルドメというのは、前の会社の常套言葉。
海外展開をけっこうやってるところなんでね。
いっぱしの奴は一回くらいは外に出るケースが多い。
そういう中で、僕みたいに国内のあっちこっちでしこしこやってる奴をマルドメと称してた。
語源は「まるっきりドメスティック」、あるいは「まるでドメスティック」辺りだと思う。
要するに、英語は丸出だめ夫ということだ。
で、実際に出張してみたら、たしかにミーティングは無難にこなせて、仕事の目的自体はOKだったんだけど。
英語は丸出だめ夫でOKというのは、まったくのデタラメだったことが判明した。
というのはさ、ランチやディナーがあるじゃない。
で、あっちはそれなりのエリートさんが出てくるんで、大概は英語くらい話せるわけだ。
で、お食事会は皆英語で会話しつつ楽しむわけだ。
OH、NO!
ということで、仕事の話はこれくらいにして、食事を始めとするタイの色んなことを紹介するね。
食事は美味かった。
で、ひとつ特徴的だと思ったのは、あらかたの料理に海老が入ってることだった。
タイガーエビから手長エビからシュリンプまで、色とりどり。
で、僕はなにしろ、子供の頃から海老大好きで、天丼やフライは尻尾まで食べちゃうのを旨としてたので、幸せを満喫できたけど。
甲殻類にアレルギーをお持ちの方(僕の知り合いの女子にも一人いる)は、オーダーのときにはっきりさせとかないとつらいことになると思う。
あとはやっぱり辛いものが多い。
ただしこれは一流店だと、ソース(辛いのは大概緑色)を自分で調節できて、辛いのが苦手な人はかけなければいいだけなので問題ない。
ただし、庶民的な店は初めから辛いのがドバっと出てくるので要注意だ。 最後の日に接待を離れてプライベートに寄った店のトムヤムクンがそうだった。
で、僕は辛いのが好物なので、バカバカ食った。
そうすると、トイレがつらくなる。
で、僕はバンコクのトイレで苦吟しながら、日本はなんて恵まれてるんだろうと実感した。
なにかというと、ウォシュレット。
あれはねえ、日本が誇る先進的な技術だよ。
と、尾籠な話になりかかったので、話題を変えると。
あちらさんに設えてもらったディナーのピークは、とある一流店でタイ舞踊のステージを鑑賞しながらタイ料理のコースを賞味するというものだった。
で、そのタイ舞踊のメイン、ラーマーヤナで白猿が登場するシーンを見て、僕はマイミクのコムシンさんのことを思い出した。
いや、もちろんコムシンさんがお猿に似てるということじゃないですよ。
彼は僕のマイミクさんの中でも一二を争うウルトラマン通でね。
いつだったか、円谷プロがタイのプロダクションと合作した変なウルトラマン映画のことを教えてもらった。
で、その映画「ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団」に出てきたタイ版ウルトラマン、ハヌマーンの動きがラーマーヤナの白猿にそっくりだったんだよ。
この映画がどのくらい変かというのは、実物を見てもらうしかない。 これです。
หนุมาน พบ 7 ยอดมนุษย์ (ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団)
https://www.youtube.com/watch?v=n3E9IPthfAs
ちなみにディナーで隣席になったタイの人に聞いたら、かの国の人らも国民的作品といわれる「ラーマーヤナ」を読み込んでいる人はそれほどいないというので、ちょっとほっとした。
だって僕も、「源氏物語」とか「平家物語」とか、原文で読んだことがないので。
そのディナーショーではムエタイ、タイ式ボクシングの演舞も披露された。
で、またまた隣席のタイ女子に、この競技は僕が子供だった頃日本で大人気だったよと言ったんだけど、イマイチよくわかってもらえなかった。
同世代前後の人はわかるよね。
かつて、キックの鬼はさわやか律子さんと並ぶ国民的ヒーローだった。
その沢村忠の試合のフィルム。 真空飛び膝よりもその前のパンチと抱え膝蹴りが圧倒的。
https://www.youtube.com/watch?v=fg4DxeuVvzI
さらにその昭和のヒーローのヴォーカル。 渋いぜ。
キックの鬼OP 歌:沢村忠
https://www.youtube.com/watch?v=K80CMNdC7ws
そのムエタイを題材にして世界的にヒットしたタイ映画がある。
マッハ!!!!!!!! องค์บาก
まあ、当時の宣伝コピーにあった「少林サッカーを超えた」とは思わなかったけど、さすがにアクションシーンはなかなかに見せていた。
https://www.youtube.com/watch?v=ZwyxwilU2zA
閑話休題。 仕事でも観光でも、これからタイに行くかもしれない人たちへの忠告をいくつか。
まず、歯ブラシは必携。
僕が泊まったホテルはそこそこのグレードだったんだけど、洗面所に歯ブラシが置いてなくて、ちょっと苦労した。
次に、タクシーには頼らない方がいい。 特に帰りの便に乗るべく空港に行く際は。
バンコクはある面東京と同じくらいインフラが整ってるんだけど、そうでない面も多い。
例えば、市内の交通渋滞は半端ない。 ので、時間が計れない。
で、スクーターが跳梁跋扈することになる。 二人乗りは当たり前で、クルマの横をスイスイ抜っていく。
じゃあ、電車に乗ればいいじゃんなんだけど。
その高架鉄道の電車に乗るまでが一苦労なんだ。 まず、エスカレーターがあんまりない。
帰りの日、ホテル最寄りのパヤタイ駅の長い階段をキャリーバッグを抱えて汗だくでえっちらおっちら登ったときはしんどかった。
でも、人はそういうときに音楽に助けられる。
よろめきながら階段を登ってひいこらしてるとき、最近お気に入りになったこの5人組インディーズバンドの新曲を脳内でリフレインさせた。 で、癒された。
こいつら、早晩メジャーシーンに躍り出てくるよ。 覚えといて。
SKY5 Avaivartika (アヴァイヴァルティカ)
https://www.youtube.com/watch?v=gUIT4pNgIXU
で、駅に着いたからと言って安心してはいけない。
あっちは切符の自動販売機は硬貨オンリーなんだ。
でも、そんなにコインを持って歩いてるわけじゃないので、駅の窓口で札と両替してもらう必要がある。 で、窓口に長蛇の列が出来ちゃうわけだ。
ということで、普段は当たり前だと思ってる日本のエスカレーターや自販機や改札機、あるいはSUICAの有り難さを実感させられたよ。 ウォシュレットと同様にね。
一方、別の意味で日本の偉大さを実感させられた場があった。
本屋だ。
なにかというとね、クールジャパンが満載だったんだよ。 つまり漫画。
コナンやワンピみたいにオリジナルがそのまま置いてあるのもさることながら。
地元の作品がねえ、日本が開発した画風をまんま移植したものばっかりだったんだ。
このソフトパワーの凄さはねえ、当の日本の大人たちにもいい加減認識してもらいたいなあ。
ディズニーが神だった僕らの子供時代とはぜんぜん違うステージに入ってるんだから。
そのハリウッドの諸作品が米国の存在を第三世界に浸透させるにあたって威力を発揮しているのは、誰もが認めるところだ。
で、日本のアニメ、漫画は今やハリウッドを超えてる。 少なくとも漫画の劇場版化では。
アベンジャーズを見てそう思った。
たまさか今回ANAの飛行機の中で、あれの新作を見たんだよ。
よく知られているように、あのシリーズはマーベルコミックのヒーローたち、アイアンマン、キャプテンアメリカ、超人ハルクらアメリカ人好みのキャラを並べて作った作品だ。
で、CG技術はたいしたものだったので、最後まで見たけど。
肝心のキャラ立てやストーリーテリングは我が日本のアニメの方が遥かに上をいってた。
キャラということでは、繁華街のど真ん中にハローキティのショップがあった。
で、そのことをカミサンに話したら怒られちった。
「キティちゃんがあるなら、お土産に買ってきてくれたらよかったのに!」
「いや、まあ、俺はあれが猫だという認識がなかったもんで」
「猫そのものよ。だから私はグアムでもそこにある茶色く日焼けしたキティちゃんを買ってきたの」
「ああ、たしかにいるなあ。いっぱい猫ヌイグルミがいる中の一体なので気がつかなかった」
もうちょっとハードウェア的なものに着目すると。
セブンイレブンがそこかしこにあって、助かった。
タイは流通が発達してるからね。 その象徴が街中に並ぶ屋台。
その中で地歩を固めてあれだけのプレゼンスを成し遂げたのは凄いと思う。
ちなみに日本と同じでガキんちょのたまり場になってるみたいだった
一方、女性の社会進出ということでは、タイは日本はおろか米国をも遥かに凌駕してると思う。
今回のミーティングの相手方の幹部は女性が過半を占めていた。
あとで聞いたところでは、かの国ではデスクワークは女の仕事とされていて、男はもっとマッチョな分野で力を発揮すべしという発想があるそうだ。 軍隊とか建設関係とかね。
その女性陣だけど。
僕は元々南方系の美人に弱い。 それは中坊のときにこの人にハマったことで明らかだ。
で、バンコクにはさすがに女神シンシアにタメを張るような存在はいなかったけど、わりとこう好感の持てる容姿の女子が大勢市内を闊歩してたよ。 簡単に言うと、アベレージが高い。
一方、立場によって評価の異なる事象もあった。 タバコだ。
僕は最初はブラックラグーンみたいに、タバコなんてやりたい放題だと思ってたんだけどねえ。
かの国の人はほとんどタバコを吸わないみたいなんだ。
下手に街角でやったら、この中国人女子みたいに怒られて罰金を取られちゃう。
でもそうはいっても吸いたい者らもいるようで。
繁華街の裏路地でそういう一角を見つけた。 そこには灰皿が置いてあって、男子高校生及びお水系っぽい女子らがプカプカやってた。
最後はお土産。
タイに行った日本人の大半がこれをお手軽お土産にするそうだ。
グリコのプリッツ ラーブ味
で、僕も買ったんだけど。 残念ながら賞味してない。
8個詰め合わせを仕込んだんだけど、僕以外の家族3人が食べたあとは、カミサンが英語の生徒さんたちへの支給品にしちゃった。
なので伝聞だけなんだけど、なかなかにタイ式の辛い味だそうです。
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