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2015年08月04日07:48

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チャップリンからの贈りもの(La rancon de la gloire)


 

喜劇王チャップリンの遺体が盗まれた実際の事件を題材に、マヌケでドジな2人組が巻き起こす大騒動を描いたヒューマンコメディ。「神々と男たち」でカンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞したグザビエ・ボーボワ監督が、チャップリンの遺族の全面協力を得て完成させた。1978年、喜劇王チャップリンの遺体がスイスのレマン湖畔にある墓地に埋葬された。それを知ったお調子者の男性エディは、入院中の妻と幼い娘を抱えてどん底の生活を送る親友オスマンを誘い、チャップリンの棺を盗んで身代金をせしめようと思いつく。しかし計画は穴だらけで、ツキにも見放された2人は窮地に追い込まれてしまう。主演は「ココ・アヴァン・シャネル」のブノワ・ポールブールドと「この愛のために撃て」のロシュディ・ゼム。チャップリンが晩年を過ごした邸宅や実際の墓地で撮影を行ない、チャップリンの息子や孫娘も特別出演している。「シェルブールの雨傘」などの巨匠ミシェル・ルグランが音楽を担当。(映画.comより)





 いい映画でしたね。こんなに人生にくたびれたおばさんでも、ホロリとしました(笑)。舞台はスイスですが、主人公たちはそれぞれベルギー、アルジェリアからの移民です。冒頭の場面には、刑務所から出所するエディ。むかしエディに世話になったと言うオスマンが迎えに来ています。二人は古くからの友人で、なんにも持ってないけれど、いい奴らです。

オスマンには妻と娘がいます。しかし生活が苦しい中、妻は家政婦として無理を重ねた結果か、腰を痛めて入院中。手術をしないと治らないと言われてしまいます。娘は勉強ができるようで、獣医になりたいという夢を語りますが、とてもじゃないけれど大学にやるようなお金はありません。

出所したエディにはボロなトレーラーを用意してあったものの、エディに仕事があるわけでもなく、オスマンだって身入りの少ない仕事で、医療保険も家族手帳も持たない彼らには、医療費の全額負担という大きな負担がのしかかります。また、銀行を始めどこへ行っても借金を断られ、いよいよ困窮します。

そんな中、テレビ(どこかから拾って来た)では、チャップリン死去のニュースで持ちきりです。そこに移るチャップリンの豪邸を目にしたエディはあることを思いつきます。「チャップリンは放浪者の友達、移民の友達、貧乏人の友達。友人からお金を借りよう」と。

「そんなバカな」と取り合わなかったオスマンですが、「ママに会いたい」と娘に泣かれるに至って決意します。そして二人は、ほど近いチャップリンのお墓まで、棺の強奪に向かうのです。

チャップリンの棺って、本当に盗難に遭ったんですってね。もちろん、この映画のお話はフィクションですし、犯人たちはド素人すぎます。でも、ここまで話を膨らませて、遺族の全面協力を取り付け、なおかつ心温まるお話に仕上げてしまった監督の力量には脱帽です。

基本はコメディです。盗難がわかると、「犯人」と称する輩が何人もチャップリン宅に電話をしてきたり、主人公たちが電話をする時も、声を変えるために鼻をつまんで受話器をハンカチで包んでかけたり(素人すぎる・・・)、「君たちが真犯人だと言う証拠に、棺の写真を送ってくれ」と言われて急に身代金(?)を値切ったり。するとチャップリン家の執事は「値下げには感謝するが、写真はきちんと送ってくれたまえ」とか言うんです。笑いが止まらない。

ともかく、彼らはそのうち捕まります。でも、許されない犯罪ですが、弁護人の「彼らは何をする能力もない愚か者な上、貧困と言う社会的制裁も受けています」などという上手な弁護と、被害者家族が告訴しなかったこともあり、深く罪を問われずに解放されます。そして、二人は人生をやり直すチャンスをも授かるのです。

ラスト近くに、オスマンが家族と共にチャップリンのお墓に参り、「ほんとうにすみませんでした」と何度も繰り返す場面があります。そのボキャブラリーの少なさに、また実直さを感じてしまった私でした。

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