『M/Tと森のフシギの物語』(岩波同時代ライブラリー)のあとがき「語り方の問題」で、≪私が専心したのは、自分の記憶の耳と魂のなかに響きつづける祖母の語り口を、新しい小説の語り方(ナラティヴ)として再現することでした。それも、仏教のテキストにこういうスタイルがありますが、如是我聞、私はこのように聞いたと物語る語り方(ナラティヴ)のやり方で私はやろうとしたのです。≫とこの小説の語り方について記している。「○○でした。」や「○○です。」という結びかたの多用は、大江小説でははじめてであったような気がするほどで、なにか「懐かしい」おもいになります。
この小説は『同時代ゲーム』から繋がっているようですから、そちらも読まなくてはいけません。(このぶんでいくと年内いっぱいかかりそうです。)
カバーを外した姿はなかなかよろしいようです。
なお、M=matriarch で T=tricksterのことだそうです。
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