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2015年07月23日11:01
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ＤＮＡでたどる日本人１０万年の旅 −多様なヒト・言語・文化はどこから来たか？ 久しぶりの読書メモ −２−
�■庁裡舛任燭匹詁�本人１０万年の旅 −多様なヒト・言語・文化はどこから来たか？ 崎谷満著 昭和堂 2008年
中堀豊著の「Ｙ染色体からみた日本人」が染色体としてのＹ染色体についての考察の最後に補足的に日本人におけるＹ染色体の分布を論じているのに対し、本書はＹ染色体のハプロタイプによる系統図を基に日本人の起源について論じている。
図からも分かるように日本人のＹ染色体の型Ｄ２（Ｄ型の亜型の一つ、日本固有、近縁のＤ１、Ｄ３はチベットで多い）とＯ２ｂ１（Ｏ型の亜種のＯ２の更に亜種、日本・満州族に多い他に朝鮮族、ヴェトナム、タイに少し）、Ｏ３（Ｏ型の亜種）、Ｃ１（Ｃ型の亜種、日本固有、近縁のＣ３は北方アジアで多い）と全く別な時期にアフリカを出た系統が、更には少数ながらも、同じＯでも別な亜種のＯ＊、Ｏ１、Ｏ２＊やＣの別の亜種Ｃ３（北方アジアで多い）が存在するばかりか、それらとはまた別な系統のＮ、Ｑも存在する。このように多くの亜種が１つの地域に共存するのは世界的に見ても珍しい現象のようだ。
日本におけるＹ染色体の多数派で東京、北琉球ではほぼ同じ比率のＤ２とＯ２ｂの分布はＤ２がアイヌで多いのに南琉球（八重山）ではほぼゼロ、逆に南琉球で多いＯ２ｂがアイヌではゼロと、大きな違いが出る。
東京ではほぼ同じ比率のＣ３とＣ１の分布については、Ｃ３がアイヌと福岡で多いが北琉球（沖縄）と東北の青森でゼロ、逆にＣ１は北琉球と青森ではかなり多いという面白い結果が出ている。
日本国内におけるＹ染色体の分布を使って各系統がどのように日本に渡ってきたかというストーリーを展開し、日本が古代から単一の系統による単一の文化圏であったという考えに疑問を呈し、新石器時代は前期・中期・後期などの時代によって変わるが大きく４〜６の文化圏に分かれていたのではないかと主張している。
Ｙ染色体の分析から、毛深いなどの理由で同じ系統とみられることがあるアイヌ人と琉球人とは全く別な系統に属しているとされている。更にアイヌにはＤ２に交じってＣ３が若干いることから単一のＹ染色体の系統でない可能性を指摘している。
日本とチベットで多いＤやその亜種は漢民族ではゼロ、同様にＯ２ｂ系統も漢民族ではゼロ（漢民族には近種のＯ２ａは多い）、漢民族に多いＯ３ａ３ｃは日本ではごく僅かという面白い統計もある。Ｄ系統の統計から黄河文明系（Ｏ３ａ系）に圧迫された長江文明系（Ｄ系）が北と南に避難した解釈している（Ｄ系は元の中国の地での分布ゼロ）。
図からも分かるようにＤ、Ｏ（とＮ、Ｑ）、Ｃの３つのタイプはアフリカを出た時期が違う３大グループに別々に属している。このような多岐にわたるＹ染色体が日本で生き残っているのは奇跡に近いらしい。
筆者は遺伝子の多様性からくる文化の多様性（特にアイヌ、琉球）の意義や継続の重要性を説いている。
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