mixiユーザー(id:809122)

2015年07月03日00:55

366 view

自転車

 エコや健康の点からも、また自動車削減の都市政策の面からも、自転車の一層の活用が求められている昨今ですが、自転車乗りが実際に増加してきた大都市では、逆に安全を名目にして排斥するかのような厳格な取り締まりが行われているようです。
 今年6月1日から施行された改正道交法により、傘を持ったり、イヤホンをしての運転や、道路の横切り、右側通行などを厳しく摘発し、3年の間に2度捕まれば5,700円かかる講習が義務づけられました(おそらく警察の天下り組織の収入源になるのでしょう)。それをすっぽかしたら赤キップ、裁判送りで前科者です。
 実はこれは、これまで自転車で交通違反を犯したら即前科者になるところに1回の猶予を与えるもので、制度を緩やかに設計し直したものなのですが、現実には警察の側の取り締まりに対する心理的ハードルを下げることで、微罪でも容赦なく摘発できるようにしたものと言えます。

 自転車はこれまで、暗黙の了解で自動車と歩行者の中間の扱いを受け、コウモリのように行き来できることが利点だったのですが、それができなくなります。車両として完全に自動車並みの法令遵守が義務付けれらたのです。
 なぜこれまで中間扱いだったかといえば、自転車はどちらからも排斥されて居場所がなかったからに他なりません。車道では速度差40キロ以上の車にあおられ、路上駐車には進行を遮られる。歩道では予測不能な歩行者の動きに悩まされ、酷い段差にはハンドルをとられる。都市部でも郊外でも自転車が安心して走る事のできるゾーンというのは存在しないのです。だから臨機応変に車道と歩道を行き来することでかろうじて生きながらえてきたのですが、今回インフラに関しては何の手当もなしに取り締まりだけが厳格化されてしまいました。
 実質的な締め出しです。しかも主に都市部での問題だった自転車事故への対策が全国的な規制として適用された形です。

 自転車事故は近年増加傾向にあり、また重大事故も増えていると言われます。ニュースでも自転車と衝突し死亡してしまった老人の事故などが取り上げられたりして、社会問題化していると感じている方も多いでしょう。それが今回の法改正につながったと素直に考えている方も。
 しかし統計を見れば、それがプロパガンダであることがわかります。実際には自転車事故は減少しているのです。警察が出している白書の数字ですから間違いないでしょう。

 交通事故による死亡者数は、モータリゼーションの揺籃期である1971年に年間1万6,765人のピークを迎えます。その後取り締まりや啓蒙活動により1万人程度まで減りますが、20年近く微増微減を繰り返し1992年に1万1,452人で再ピークを迎えた後は着実に減少、最新のデータ(2014年)ではピーク時の1/4、4,113人まで減っています。そのうち自転車乗車での死亡者数も1999年までは1,000人を超えていたものが535人まで減っています。死亡者だけでなく自転車が絡む事故発生件数にしても2005年の180,836件から2014年106,427件へと毎年減少しているのです。交通事故全体から占める比率は2割以下に過ぎません。
 しかし、交通事故全体の大部分を占める自動車同士事故の急速な減少に比べると、その減少率が低いので目立ってしまっているようです。そんなことを言ったら歩行者の事故が最も減少率が低く問題ということになるんですが。
 インフラや交通システムの整備、安全装置の装備などハード面で改善できる余地の大きい自動車と違い、自転車や人はプリミティブ(原始的)な分、安全対策の効果がゆっくりになるのは仕方のないことです。

 そんな状況の中で、自転車だけを狙い撃ちにして規制強化することに何の意味があるのでしょうか。イヤホンを付けて自転車に乗るのは周囲の音が聞こえず危険だというなら、エンジン音のしない電気自動車こそ規制すべきなんじゃないでしょうか。ところどころ弥縫的に歩道を自転車道に指定したりするんではなく、ちゃんと車道に分離型の自転車専用道を整備してから通行規制をすべきではないでしょうか。

 いやいや、そんなことより本当に事故を減らしたいなら、先ほどの白書を見ればやるべき事はわかっているはずです。自動車だろうと自転車だろうと歩行者だろうと、事故の大きな原因となっているのが「高齢者」であることは一目瞭然だからです。

 交通死亡事故での高齢者の占める割合は高く、2014年の死亡者数は60歳以上が6割に登ります。しかもその割合は年々増加しているのです(2000年は42.5%)。自転車事故に限れば7割を超えています。老齢人口が増加しているからだと言うなかれ、年齢階層別人口10万人当たりの死亡者数で見ても75歳以上が8.94人。他の世代の2〜3人と比べてずば抜けて多いのです。
 その原因を見ると、自転車乗車中の事故で違反無し(つまりもらい事故)は2割に過ぎず、安全不確認、一時停止違反、ハンドル操作ミスが大半を占めます。歩行中でも違反無しは4割ほどで横断違反や酩酊での事故が多いのです。
 高齢者は交通システムが整ってから(高度成長後)の体系立てた安全教育を受けたことがないためか、交通マナーにもとる人が多いようです。実際に、まぁいいだろう、自分は許されるというような無謀な行動をよく見かけます。
 といって、生活習慣の凝り固まった彼らにいまさら交通教育を施して改善されるとも思われません。かてて加えて、寄る年波に視力も注意力も反射神経も減退しながら、本人はなかなかそれを認めることが出来ない。被害者加害者にかかわらず、高齢者は路上の凶器・罠となっているのです。
 いっそのこと、60歳になったら夜間の運転を禁止し、70歳になったら強制的に免許を取り上げ、自転車にも乗らせず、外に出歩くときはヘルメットとプロテクターの装着を義務付ける。交通ルールを無視する行為で3ヶ月に2度捕まったら、今後付き添いなしの外出を禁止する。
これらをやれば交通事故の件数は一気に四分の一に減るんじゃないでしょうか。

 と、ラディカルな提案となりましたが、でも、ご高齢の方はご安心を。大阪都構想の際の住民投票でもわかるように、日本の政治を左右するのは投票率の極めて高い70歳以上の老人たちですから、年寄りに都合の悪い政策が実行に移されることはまずありません。それに、そうやって高齢者の寿命を伸ばしてしまっては逆効果ですものね。
3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する