映画「おかあさんの木」を見てきた。
あれはやっぱり「かあちゃん」も「母」も「おっかぁ」でもない。「おかあさん」が一番しっくり来る。
他の呼び方でも、意味合いや感動は変わらないけど、鈴木杏香のそれは「おかあさん」以外の何者でもなかった。
どうやらワタシが子供の頃に読んでいたのは絵本版だったようだ。
お母さんとお父さんの馴れ初め(あの時代にしては熱烈なのだ)だとか、6人兄弟のほかにお姉さんのところの里子に出した子がもう一人いたとか・・・「え?そうなの?」の連続だった。
ワタシは子供の頃からオンナだから、どうしても戦争映画といっても、戦闘シーンよりも、家に残されたお母さんと子供のほうに目が行く。
そういうところの子供は基本的には、お父さんが出征前に残した「お母さんをしっかり助けるように」という言葉を子供なりに(子供以上に)一生懸命に守って、涙ぐましいほど礼儀正しい。
兄弟がいると、お兄ちゃんと弟の順序がきっちり決まっていて、それでもお兄ちゃんは弟に優しい。
母親に対しても礼儀正しくて、さからうこともめったにない。万一そういう事態が発生したら混乱している母親を落ち着かせ、母にりかいできるように行って聞かせるのだ。
・・・・あー、そんな息子、欲しいわ。
話が逸れた。
「おかあさんの木」は、実質七人生んだ息子達が出征するたびに桐の木(だったと思う)を一本ずつ植えて、ただひたすら息子の無事を案じ、一人でも多くの息子の帰りを待ち続けるおかあさんの話である。
んで、多分、息子を持つ女性は、この映画のおかあさんの気持ちがわかるんじゃないだろうか。
「村の誉れ」なんぞくそくらえ、である。
「息子を七人も戦地へ送った愛国の母だ」なんてくそくらえである。
なんで当事者じゃない人たちというのは、あんなに無神経なんだろう。
・・・といいつつ「戦争始まっても、ウチらオンナで年寄りばっかりやからカンケーないし。ワタシなんぞに召集かかってきても、もう後ろに「守りたい者」なんておらんし、やる気のない部隊やろなぁ〜 と事務所で笑っていた。
ウチの事務所は年寄りが多いのである。
ワタシにとって「護るべきもの」は王子くらいだが、ワタシが呼ばれる前に前線にいっとるだろう。
だからやっぱり、ワタシにはこれ以上護るものはないのである。
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