ここ数年、ハリウッドの特に大作映画がダメになる反面、「イギリス映画って、なんか肌に合うなあ」と感じてて。
もちろん、かたっばしから見てる訳ではありませんが。
フランス映画やイタリア映画に比べて、イギリス映画は、リズムと「面白がるポイント」が、日本人に近い気がする
てな訳で、見てきましたよ。
イギリス映画の『パレードにようこそ』
すっげー良かった!
1984年のサッチャー政権下では、炭鉱町がどんどん閉鎖されてって。炭鉱夫たちがストライキしてて。
ロンドンのゲイ・コミュニティの若者たちが、「迫害されている仲間だ!炭鉱夫を救おう!」と募金を募るんだけど。
80年代は、今よりさらに、同性愛者に対する理解が少なかったので、どこの炭鉱の労働組合からも、「ゲイの集めた金なんているか!」と断られ。
うっかり、おばあちゃんが電話に出た、田舎の炭鉱町だけ、大喜びで。
以降、炭鉱町の、おじちゃんオバちゃんと、ゲイやレズの若者の交流が始まるのですが。
あらすじから、もっと牧歌的な映画かと思ってたら、同性愛に対する差別描写はキッチリ描いてたね。
80年代だと、同性愛者って、日本でも今以上に色眼鏡で見られたと思うんだけど、キリスト教文化圏だと、「神の教えに背いてる」という事で、よりバイオレントな迫害をする人がいるのね。
という訳で、炭鉱町に行っても、歓迎されなかった一行ですが。
ゲイの人って、都会的なカルチャーの先端を行ってる人もいるからさ。
洗練された、カルチャーで町の人たちを魅了してくのが、良かったな。
差別に対して、暴力や威圧ではなく、知性とカルチャーで立ち向かうという。
もちろん、最後まで、分かり合えない人というのはいるし。
ゲイ・コミュニティと炭鉱町の連帯というのも、世間には理解されない。
だけど、映画自体は非常にテンポ良く、明るい作風で、非常に面白かったですよ。
そして、最初に書いた、他国の映画との、違いにも、なっちゃうんだけどさ。
この映画が、何を持って「勝利」としているか。
実話を元にしてるから、じゃあゲイと炭鉱夫が、団結して、サッチャー政権を凹まして、再び炭鉱をイギリスの主たる産業に戻しました、となるかと言うと、そうはならない訳じゃないですか。
そういう意味で、この映画、どこに落とし所を持っていくのかなあ、と思ったら。
やられたわ。
多分、アメリカ映画だと、「社会的弱者が協力して、強大な敵を打ち負かす」という所に、快感原則を見出すと思うんだよね。
しかしこの映画だと。
「勝敗は問題ではない。我々は、受けた恩には必ず報いる」という所に、重きを置いてるんだよね。
これは、非常に、日本人の快感原則にも近いと思う。
それが映画の結末のみならず、モデルとなった史実にも、痛快な結末を与えてるというのが、やっぱイギリス人って、どこか日本人に似ているのかなあ、とも思う。
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