『脈　84号』

　三月書房のブログでこの表紙を見て吃驚、「こりゃすぐに注文せにゃ」とメールを送ったのが金曜日で、届いたのが日曜日だった。

　『脈　84号』特集「中尾務の島尾敏雄　富士正晴」（2015年5月20日脈発行所）。表紙の写真は昭和53年に産経新聞社が撮った富士正晴。
　中尾さんの「島尾敏雄　富士正晴」は、５３頁とこの号の三分の一をこえる分量、「付記」によると『舢板』に2004年から2008年まで8回にわたって連載された「島尾敏雄、富士正晴」がもとになっているとのこと。数年前にもまとめないかという話があってその時は『VIKING』に「VIKING」を連載中で断ったが、昨年末に再度話があり、『舢板』連載後に新たに出てきた島尾の「終戦日記」や島尾宛富士正晴書簡のこともあるので引受けたそうだ。≪むかしの連載に新資料を入れての加筆・訂正という作業を終えたあと二、三日たって想起したのは、『舢板』を主宰、編集実務にあたった松本八郎さんが、昨年九月一九日に亡くなられていること、あたらしい資料があるからというのは建て前みたいなもの、松本八郎編集の感触を偲びたかったからいそいそと旧稿に加筆・訂正をしていたのかもしれないなと思ったことだった。≫と書いておられる。じっくり読みましょう。
　それと、「島尾敏雄と島尾ミホ　島尾ミホへのインタビュー記」比嘉加津夫、1987年のインタビューの再録でちょっと覗いてみたが面白そうだ。

　表紙の富士の写真にはこちらでお馴染みだったのです。