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2015年03月31日23:56

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パチンコ屋の英語

 引っ越す前に住んでいたところから鶴見川を渡ったところに、たいそう威勢のいいパチンコ屋があった。

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 “PLAY SLOT FOR BEAT, ENTERTAINMENT FAST”というのは、ラップっぽく脚韻を踏んでいるのだと思うけど、“play slot”と“entertainment”があまりうまく対になっていないし、それぞれを“for beat”と“fast”で受けるのもなんか変である。そもそも、“PLAY SLOT FOR BEAT”からしてなんじゃそれとは思うけれど、“ENTERTAINMENT FAST”は片言を通り越して英語を壊しにいっている組み合わせだと思う。

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 “Be A Millionaire!”は“Be Ambitious.”を踏まえていると思うけれど、「大志を抱け」から転じて「大金持ちたれ」はいかにも苦しい。そもそも、大金持ちは「ある」ものというより、「なる」ものだろう。

 “FIGHT THE POWER”は「権力と闘え」という意味だろうか。全日遊連に叛旗をひるがえすつもりなのだろうか。そんなわけはないが。

 意地悪く揚げ足をとるような書き方をしてしまっているので、「パチンコ屋なんて頭が悪いから、英語もろくに使えないんですよ」といいたがっているように読めてしまうかもしれないけれど、実はまるっきり逆で、英語なんてこれぐらい適当に使ってしまえばいいと思うのである。

 日本人が英語を苦手にする理由といえば、文法とか音の少なさとか、ほぼほとんど子音を母音で補う発音の習慣などが挙げられるけれど、なんといっても間違えると恥ずかしいという思いこみが習得を妨げている最大の要因だと思う。しかし、母国語でない言語なんて拙くて当然だし、たしかに文法は一定の指針になるけれど、言葉は使われてきた歴史の結果として存在しているわけだから、そんなに理屈ですっぱり割り切れるものではない。基本的には間違えながら憶えるしかないのであって、間違えないということは憶えないということにほぼ等しい。
 身の回りを思い浮かべてみても、英語を使いこなしている人間といえば、だいたい面の皮の厚い恥知らずばかりである。

 ナンシー関と大月隆寛の対談で、松田聖子がジェフ・ニコルスに送った手紙の英文が中学生レベルで恥ずかしいとか話していたけれど、この点についてだけは松田聖子の方が圧倒的に正しい。たとえ、白人の愛人がほしいというどうしようもない理由であっても、そして、中学生すら失笑するような内容であっても、とりあえず書いて送ったもの勝ちである。文法なんてめちゃくちゃでも、とりあえず単語を並べればだいたい意味は通るはずである。そのあたり、厳密にニュアンスを伝えなければならないケースなどほぼないだろうし、そういう状況に立ち至ったら、その時にどうするか考えても別に遅くないと思う。使い方の実感がない文法など暗記しても使えはすまい。

 そんなわけで、パチンコはしないけれど、引っ越した後もたまにここのことは思い出すのだった。

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