■安倍首相「不戦のために行動を」 防衛大学卒業式
(朝日新聞デジタル - 03月22日 20:51)
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安倍晋三首相は２２日、防衛大学校（神奈川県横須賀市）の卒業式に出席した。「不戦の誓いを現実のものとするためには決然と行動しなければならない」と述べ、持論の「積極的平和主義」のもと、集団的自衛権行使を含む安全保障法制の整備を進める姿勢を強調した。
首相は、１９９１年の湾岸戦争停戦後のペルシャ湾での機雷除去や、カンボジアや南スーダンでの国連平和維持活動（ＰＫＯ）などを例に「自衛隊にはより一層の役割を担ってもらいたい」と述べ、自衛隊の海外での活動を拡大する考えを述べた。
また、憲法解釈を変更する閣議決定や安保法制整備に対する批判を念頭に、「行動を起こせば、批判にさらされる。過去も『日本が戦争に巻き込まれる』といった、ただ不安をあおろうとする無責任な言説が繰り返されてきた。批判が荒唐無稽であったことは、この７０年の歴史が証明している」と主張した。
首相は卒業式後に行われた幹部候補生への任命・宣誓式にも出席。卒業生が新たな門出を祝い、恒例の帽子投げをした。防衛大によると、首相が任命・宣誓式に出席するのは異例という。（藤原慎一）
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もしかしたら安倍晋三という人は小泉のようなレトリックを目指しているのではないだろうか。それが上手く決まらなくて通じていないような。
レトリックとは修辞学、つまり説得術である。説得は、合理的、論理的である必要はなく、多数決でよい。多数を説得できれば論理も思想も問わない。
ではどうやるかといえば、鮮やかさであろうか。小泉の屁理屈はしかし、切れ味が鋭かった。あれを聞いて、アドリブで打ち負かすのはそうとうの腕がいる。もう芸人でもトップクラスの。しかも論戦の恐ろしさとは、アドリブにある。一日考えて、それで正しい答え（と自分が思う）を導き出してももう遅い。
そういう一発勝負的な所があるので、得意不得意ができるのは当然の話だ。実際、小泉の数々の答弁にいまも意を唱える人は多い。そういう人のブログを開いた所で、閃きはとうに及ばす、切れ味はまなくら、にやりのユーモアひとつない。そりゃ勝てない。後出しジャンケンでもともて勝ち目がない。
「いろいろな改革を進める場合には、必ず反対勢力、抵抗勢力が出てきます。こういう勢力に対して、恐れず、ひるまず、断固として改革の初志を貫きたい。どういう勢力かというのは、やってみなきゃわからない。私の内閣の方針に反対する勢力、これはすべて抵抗勢力であります。」
小泉の発言の明確さは逆もまた真なりをぱっと言えた所だろう。正しくは逆は常に真ならずである。だが聞かれれば、論理的に合っているような気もしてくる。
「法律上は、自衛隊の活動している所は非戦闘地域」
自衛隊を非戦闘地域に出すと決めた。だから非戦闘地域とはどこか、どういう条件がいるか、状況を考え、そこに線引きが居る、と問うた。定義しなければ自衛隊を出すこともできないではないか。
すると答えて曰く、逆である、自衛隊が居る所が非戦闘地域なのだ。なぜなら、
�� 自衛隊は非戦闘地域でしか活動できないと法的に決まっている。
�� その自衛隊を出した政府、閣僚、官僚がミスをするわけがない。
�� よって自衛隊が戦闘地域にいるはずがない。
�� ならば自衛隊が居る場所は非戦闘地域に決まっているのである。
Ｑ． もちろん、戦闘地域は流動するではないか、明日まで平和な場所が戦闘地域になることもある、そういう時にはどうするのか。
Ａ． 答えて曰く、そんなもの戦闘地域を定義し限定して送り出しても起きうるシチュエーションである。答えは撤退するしかないが、それはやってみなくては分からない。
Ｑ． だから送り出すのは危険だと言っているのだ。
Ａ． そんなことではいつまでたっても永久に送り出せないではないか、云々。
こうしてみれば、もうひとつ大切な話しが含まれていることが分かる。小泉は決して自分ひとりですべてを抱え込む気はない。当然ながら、そんなのは不可能であることを十分に理解したうえで、話しをしている。
「イラクのどこが非戦闘地域なのか言って下さい」と問われて「私に聞かれたって分かるわけないじゃないですか」と答えた。当たり前である。総理大臣が全てを知っているわけがない。しかも時々刻々変化する戦場である。もし分かるという政治家がいるならその人はよほど帽子の下が空っぽか、詐欺師の才ありである。それを本当に知りたいのなら、まずは専門家だ、と答えただけなのである。
この話術の巧みさ、と比べると安倍晋三は弱い。弱すぎる気がする。
「積極的平和主義」という言葉が気に入っているが、ようは武力や抑止力も平和を持続するには必要という考えであって、おそらく国際社会では常識の考えであろう。これをこういう言い方をしなければいけない所が苦しい所であるのは理解したとしても、これは美しくない。
たんに国際協調路線と言っていればいいが、それだと従来と同じである。ならば積極的国際協調路線という所か。まぁしょせんアメリカ様でしょ、と言われてしまう。それも腹立たしいから平和主義と言った。積極的平和路線でもいいが、人口に膾炙していないから、平和主義か。どうも平和のイメージと積極は結びつきにくい。そこがセンスと言った所か。美しくはないが、もちろん代案もない。
「自衛隊にはより一層の役割を担ってもらいたい」
「行動を起こせば、批判にさらされる。過去も『日本が戦争に巻き込まれる』といった、ただ不安をあおろうとする無責任な言説が繰り返されてきた。批判が荒唐無稽であったことは、この７０年の歴史が証明している」
まてまて、日本が戦争に巻き込まれる論争は、ＰＫＯくらいからの議論じゃないのか。あ、安保闘争のテーマもこれだっけ。とすると、「戦後７０年」はあながちウソではないか。もちろん、たった７０年で証明と言われても困るのであるが。
ああそうか、安倍晋三にはどうも数学的センスがない気がしてたのか。それが彼への違和感の正体かもしれない。そう考えれば小泉にはしっかりとした論理学や集合の考えが見えてくるけど、安倍晋三は文学な人かも知れない。情緒という部分へのフォーカス。ならば彼（および彼のライター）が演説の中心に置くべきは論理性よりも言語的描写力の方かも知れない。
安倍晋三と数学センス、この観点で見ると面白いかも知れない。
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