致知出版社の「人間力メルマガ」(2015年3月10日)より。
講演回数は7千回を超え、著作も90冊に及ぶなど、これまで多くの人々に“やる気”を与えてきた社会教育家の田中真澄さん。
かつて日経BP社に所属し、『日経ビジネス』の基礎を固めた後、43歳の時に独立。
以来36年間、己の身一つで、講演と執筆だけで生きてきました。
そんな田中真澄さんが語った
「ビジネスで大事なたった2つのこと」とは──以下、転載。
サラリーマンは退職と同時に「所属価値」を失ってしまいます。
大企業の権威をバックに肩で風を切る勢いだった人も、会社の社員という所属価値を失ってしまえば、誰からも相手にされなくなるものです。
その時、問われるのが「存在価値」です。
言い換えれば、
「どこの企業のどういう肩書の方ですか」から「あなたには何ができますか」
という問いへの答えが求められるのです。
これからの人生百年時代をいきいきと生き抜く上では、自分自身の「生き方革命」がとても重要になってきます。
私に存在価値の大切さを気づかせてくれたのは父でした。
父は元軍人で私たち一家は戦後、いまの韓国・釜山から日本に引き揚げてきました。
ところが、日本が独立するまでの6年半、父はパージによって公職に就くことができず、
過酷な行商で家族の生活を支えたのです。
日本国内が食べるものに事欠いていた頃までは、行商でもなんとか食い繋いでいけましたが、物が豊かになるにつれて厳しさは増していきました。
それでも父は決して行商をやめようとせず、朝早くから夜遅くまで人の2倍、3倍、
汗水流して黙々と働きました。
私はそういう父の後ろ姿をとおして「人間は命懸けで打ち込めば生きられるのだ」と教えられたのです。
父は軍人だっただけに商売には全く不慣れでしたが、ある人からこう教わったそうです。
「田中さん、商売というのは簡単なんだよ。
太陽のように生きればいいんだ。
太陽は2つのものを人に与えてくれる。
1つは熱。
熱意を持って人に接すれば、その熱は自然と相手に伝わる。
もう1つは光。
光を与えて相手を照らし、関心を持ってその人の存在を認めてあげること。」
父は生前、
「俺は商いのことは何も知らないが、この2つだけは心の支えにしてきた」
と私に話していました。
私が個業家(個人事業主)として自分の存在価値で勝負しようと思ったのも、そんな父の影響です。
これまで有料の講演会だけでも6500回以上も行ってきましたが、私が伝えたいメッセージを凝縮すれば、父から教えられた「熱と光を相手に与えよ」に尽きるように思います。
ログインしてコメントを確認・投稿する