mixiユーザー(id:25351452)

2015年02月20日12:04

2356 view

海老蔵のなんでもありのスターウォーズ歌舞伎、いいんじゃない

「映画 中村勘三郎」のDVDをやっと観た。
フジテレビが度々放送していた2004年のNY公演から最後までのドキュメンタリーをまとめたもので、TVでは放映されなかった部分も含め興味深かった。
とくに中村座でやった「仮名手本忠臣蔵」の稽古での「忠臣蔵」だからこその厳しい姿勢。
一座への厳しい指導もそうだが、自宅で舅、芝翫さんに教えを真摯に乞うているところを見てもこのひとの役者馬鹿ぶりが熱く伝わって来る。
でもこのひとの一番の魅力は、次はなにをやってくれるのかな・・・と期待させるほどいろいろ仕掛けてくれたこと。
特典映像でのセブンのインタビューで高校時代同級生の嵐の松潤に、父親の歌舞伎観に来てよ・・・と自信をもって言っていたというのはわかる気もする。
客がなにをしたら一番楽しんでくれるかを常に考えているような舞台ばかりでしたな。
いまの勘九郎は父親の芸を継ぐことを重視しているが、4月に中村座の再開もあるけどそろそろなんか仕掛けてくれないかな?彼はほっといても勘三郎の芸はしみ込んでいると思うのでそろそろ自分からなんか発してくれてもいいんじゃない?
映画のなかで勘三郎が息子に言った言葉がまさに表してますな、「君、まじめすぎるよ」


土曜は仕事が終わったら六本木へ。
かなり冷え込むなか会場に急ぐ。
今回の会場、前から気になっていたんですが地下に座席、ステージがあり
東京ドームシティホールに似てますな。
もっとも帰りは上に上っていくので異様に混み合い不便かも。

会場に着くと歌舞伎用に花道がしつらえてありましたが、
普通のものとちがいT字型の花道で、この辺もいつもの歌舞伎とちょっと違うぞ感を開演前から感じましたな。

六本木歌舞伎
地球投五郎宇宙荒事 @ EXシアター六本木

馬鹿は馬鹿なりにがんばれば形になる。

これがこれを観た正直な感想。
現代の楽屋話あり、スターウォーズネタあり、加藤清史郎くんあり、津軽三味線の上妻宏光の独奏あり
とにかくなんでもありのてんこ盛り状態な歌舞伎でした。

狂言回しの清史郎クン演じる海老蔵のいつまでたっても名前を覚えてもらえない部屋子さんが、海老蔵と獅童の楽屋を訪れるといったところから始まり、最初のメイクしながらの楽屋話が大爆笑でした。
「最近おれたちマスコミ来ないよね・・、最近はなんか松也とか七之助とか騒がれてるよねぇ」
「来月熊本でくまモンと歌舞伎だよ・・」
「みークン(獅童の本名:幹弘)、昨日の夜は誰と行ったの?」
そんな与太話から元禄の江戸に宇宙から悪人がやってきて荒事の歌舞伎役者が対決するってなったら面白いね・・・という話になり本題へ。
ついでに「みークン、悪役やってよウッシッシ
(その際当初、初代團十郎で考えていたが、海老蔵がおかーちゃんに電話して即拒否され渋々團九郎に変えたのが笑えるウッシッシ

以降が荒唐無稽なストーリーであるがシンプルでスターウォーズネタが結構散りばめられていたのも面白い。
一番笑えたのは市川宗家のお家芸である「にらみ」が実はフォースだったことで、それで獅童演じる駄足米太夫(あのキャラですな)を追い払うところ。
あとは獅童ちゃんの持つ剣が赤く光ったり、三味線で帝国軍のテーマが流れたりスターウォーズファンにはツボでした。(ついでに「未知との遭遇」のあの五音階で「しばらく」を出すのもツボ)
ただ清史郎クンの与駄(これも緑色に顔塗ってたしあのキャラですな、)、どう見ても子供が演じてるとしか思えずジェダイマスターの貫禄なかったですな。

ほかにも将軍の娘が当世一の花魁だったり(右近の足運びがちょっとイマイチ)、海老蔵巨大化したり、獅童ちゃん宇宙船がトランスフォームしたり、最後海老蔵が地球を投げたりムチャクチャであり、保守的な歌舞伎ファンにはどーしても拒絶されること請け合い。

でも初代および二代目團十郎が荒事を作り出したときだって昨年暮の歌舞伎座での「雷神不動北山櫻」を見てもわかる通り不動明王が出てきたり、女に溺れる僧正が出たり、巨大な磁石で髪の毛逆立てたりとなんでもありだったのだろう。
(そもそも三味線自体がその当時最新鋭の楽器で今でいうエレキギターみたいなもんだしね)
この姿勢が「かぶく」ということなんでしょうな。
時代とともに一つ一つの所作に磨きがかけられこの芝居も洗練されるのではないかな。

とにかく成功の可否や芸の熟練度はともかくこの海老蔵の仕掛ける姿勢は、勘三郎のコクーンや中村座で実験してきた姿勢を踏襲して面白い。
6月にコクーンでやるABKAI、初回同様に宮本亜門演出、宮沢章夫脚本の組み合わせでやるので期待したい。(もっとも初回の花咲か爺さん、すっごくつまんなかったけどね・・・げっそり



脚本:宮藤官九郎
演出:三池 崇史
   
市川團九郎 市川 海老蔵
駄足米太夫 中村 獅 童
絵師の竜二 坂東 亀三郎
高窓太夫 尾上 右 近
火消しの彦兵衛 大谷 廣 松
左坊 市川 福太郎
市川鯛蔵/与駄 加藤 清史郎
右坊 市村 竹 松
大工の源 市川 九團次
法漢和尚 片岡 市 蔵
徳川綱吉 市村 萬次郎

ちなみにこの芝居8月に名古屋と大阪でやるんだそうな。
面白かったけど、出張ってまで観るかというと・・・・あせあせ(飛び散る汗)
5 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する