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2014年12月22日02:28

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今日の「軍師官兵衛」

いよいよ最終回を迎えました。

関ヶ原の戦いは、思ったよりもあっさりと描かれましたね。
これまでは小早川の寝返りを、かなり時間をかけて丁寧に描いたドラマが多かったですが、このドラマではそれにもさほど尺を使いませんでした。
でも長政が「天下分け目」って言いましたけど、この戦いをもって「天下分け目」と評したのは後世の歴史家じゃないかって気もしますが…。

前にも書いた気がしますが、この関ヶ原の戦いの場所は、かつての壬申の乱の激戦地と同じ場所なんですよね。
壬申の乱ではここにあった不破の関をめぐって激戦となりましたが、その不破の関が昔あった場所ということで、関ヶ原と呼ばれていたんです。
源平の壇ノ浦の戦いと同じ場所で、後に長州藩と四カ国連合艦隊との下関戦争が行われるのと同じです。
この下関戦争(馬関戦争)のことは、多分来年も書くでしょうね(笑)

ところで如水の九州での働きが、「如水が天下を狙っていた」という設定になっているのは、このドラマとしての独自の設定なのでしょうか? 
それとも、そういう説があるのかな?
一般には、如水は家康に呼応して石田方の城を攻めたということになっているのですが。

長政は処刑されr前の安国寺恵瓊や石田三成に声をかけましたが、小西行長だけはスルー。なぜ?
実はこのドラマでは全く触れられませんでしたが、長政もキリシタンだったのですよ。
同じキリシタンの行長に一声かけてもよさそうなのに。

そこで、実は私は今回のこの「軍師官兵衛」というドラマに対する最大の不満は、如水・長政父子のキリシタンとしての側面が完全にカットされたことです。
如水がキリシタンに入信したことは描かれましたが、秀吉の禁教令以降、まったくキリシタンではなくなっているのですね。
秀吉の禁教令(伴天連追放令)は個人の信仰にまでは及ばなかったのですから、如水がキリシタンであり続けることも何の支障もなかったのです。

秀吉の禁教令が緩やかだった証拠に、禁教令の4年後に再来日したオルガンティーノやヴァリニャーノは聚楽第で秀吉に謁見していますし、オルガンティーノなどは秀吉から京都に在住する許可を得ています。
如水は死ぬ間際までキリスト教の布教に努めたとして当時の宣教師たちから賞賛されていますし、これまたこのドラマではスルーされましたが、如水の葬儀はキリスト教式で行われたのです。
(実際は、キリスト教式と仏式の両方で行われたため、墓は寺にあるのですが)

そういったキリシタンとしての黒田官兵衛を、もっと丁寧に描いてほしかったです。
クリスチャンでない人が製作したからそうなったんでしょうが、どうにも不満です。
同じ不満は朝ドラの「花子とアン」にもありましたけれど。
「花子とアン」でも花子やその夫の一族がクリスチャンであったことは完全スルーでしたものね。

このドラマはてっきり如水が死んで終わりだと思っていました。
まさか大坂の陣まで描くとは予想外でした。
そして最後に福岡について。

長政が福岡場を築いて「福岡」と命名したことにより、江戸時代通じて福岡は城下町として栄えました。
その福岡はもっともっとずっと古い歴史を持つ博多の町と隣接していました。
そして武士の町福岡と商人の町博多が、まるで二重構造のダブル都市として発展してきたのです。
でも、明治になって市制が布かれるとき、博多市とすべきという声も多かった中、福岡城下の名を受け継いで福岡市となって、博多は呑みこまれてしまいました。
長政が命名した福岡の名は、市どころか県名にもなりました。
博多の人びとにとってはおもしろくないですよね。
それで後に鉄道が敷かれたら、その駅名をがんばって「博多」とすることを勝ち取ったとのことです。
それで、福岡市の中心駅が福岡ではなく博多なんですね。
ちなみに、後に福岡市が政令指定都市になった時点で、博多の町は「博多区」としてその名前を復活させました。

これも前にも書いた気がしますが、東海道筋の宿場町として栄えた神奈川宿の隣の漁村が横浜村でした。
でも、日米修好通商条約によって横浜が開港されてから(これも本当は神奈川を開港と決まっていたのに、幕府は横浜村を神奈川だと偽って開港したのだとか)、あれよあれよと横浜は発展し、ついに神奈川宿を呑みこんでしまって横浜市神奈川区になってしまいました。
でも、かつての神奈川宿は神奈川県という県名を勝ち取ったのです。

ちなみに、千葉県の内房線にある那古船形駅は、本当は船形という場所にあるから船形という駅名になりかけたところ、隣接の那古の住民が、那古の方が那古観音で有名なのだから那古駅にしろと騒ぎ出して争いに収拾がつかず、妥協策として駅名は那古船形となったとか。

というわけで、「軍師官兵衛」のレビューもこれで終わります。

来年は大好きな時代ですし、尊敬する吉田松陰先生の妹さんが主人公なので、レビューにも熱が入ると思いますので乞うご期待。
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