引用の記事は週刊朝日から、ということは断っておく。
だが、今、日本が置かれている状況で、外交と国防は大きな問題であることは言うまでもない。
経済というのは、どう転ぶか見当がつかないのが実際のところ。
実際に、経済学者は過去に起こった出来事を分析して解釈していくのがほとんどの仕事として費やされている。一部、新しい金融システムなどを考案していく学者もいるが、ノーベル経済学賞を取った本人でさえ、自分で考え出した金融システムで自ら破綻してしまう、という出来事が起こる。
もちろん、自然科学の分野でも、質量とエネルギーの等価を、核兵器というとんでもないものに実用化してしまい、広島・長崎の悲劇を生んだ。そんな否定的な問題は、どんな学術分野にもあるだろう。
外交の難しさは、古来続いている。歴史的にそれが切迫してくるのは幕末頃からだろう。
世界中に人類が散らばり、もはや
「新しい土地」
が無くなってしまった以上、現在ある土地・資源を奪い合う形になる。
一方で、天然資源については、ある程度保護していこう、というコンセンサスは次第に浸透している。これは漁業などの産業で特に顕著である。
「戦争」 は、何も生み出さない破壊的行為、だと私には思えるが、略奪する側には、ある程度の利がある。
誰かのものを奪ってそれを自分のものにし豊かになる。
はっきり言えば、「泥棒」 だが。
それが、国家単位で行われるのが、現在の世界の姿。
アフリカで内戦が絶えないのは、単純に彼らに独立され、資源を彼らのものにしてしまっては困るからである。
同じような状況は中東でも行われる。イスラエルという国家を建設し、いつも火種を作って、原油価格の操作を行ってきた。
日本は、戦後アメリカの泥棒行為の片棒を担ぐ形で豊かになってきた。
見えない形で、この豊かな日本の犠牲者は世界中にいる。
そんな認識を持っている日本人はどのぐらいいるだろうか?
一方で、日本自身も、いつ他国に食われてしまうかわからない。
戦力的に、防御不能なミサイルを打ち込まれる、という威嚇は、ロシアや米国だけではなく、中国にだってできる。
どれほど、自衛隊の装備を充実させても、そのような恫喝には到底対抗できない。
故、外交によって、バランスを取りながら、戦争にならないように舵取りをするしかない。
安倍政権が行おうとしていることは、一種の 「賭け」
失敗すると、食われてしまう。
だが、そうしなければならないほど、切迫している世界事情はある。
ソビエト連邦が崩壊した。ロシアは未だ強国として残るが、原油の値崩れで、通貨ルーブルはあっという間に下落した。ロシア国民は自分たちの資産の半分を、たった二週間ほどで失ってしまったことになる。
私たちが、虎の子、の貯金がある日突然、なんの防衛策もないまま、半分持っていかれる。
なんてことを想像したら、やはりそれは驚愕的出来事に違いない。
日本政府は、国民に「貯金」をするように推奨するし、将来ために現金をたくさん持っていなければならない、という錯覚を社会全体に作っている。
これは、いざ、という時にその資産を召し上げ、国家防衛につなげる伏線でもある。
実際に太平洋戦争では、国民の財産が膨大に出資され、そしてそのほとんどを失ってしまうという失態をしてしまっている。
戦争が起こらなくても、そんなことは「起こる」というのが、今回のロシアでの通貨下落だろう。
もちろん、ロシアがクリミア半島を占領したから、などという反論は一見成立する。
が、そんな侵攻があってもなくても、原油は下落したのではないか?
相場が下落する寸前には、高値で推移する、というのは人間が関わっている経済活動である以上、基本的に良く起こる出来事。スコットランドの独立運動なんかも、それに担ぎ上げられ、なんとか原油の価格を維持して行こうとした勢力によるものだろう。
だが、供給過剰になった原油が下落してしまうのは、必然であった。
それを見越して、高値で売り抜いた人達が、膨大な利益を得たことだろう。
国防と外交だけで、平和と豊かな社会が守れるわけではない、がそれは重要な事項であることには変わりない。
だが、一番重要なことは、日本国民が危機感を持って平和のために努力することではないだろうかと思う。
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■田原総一朗「『経済が争点』と言う安倍首相に見事にだまされた」
(dot. - 12月19日 11:41)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=173&from=diary&id=3192917
ジャーナリストの田原総一朗氏は、自民党が大勝した今回の衆院選について安倍首相の本当の狙いについてこう語る。
* * *
自民党の圧勝に終わった今回の衆院選は、安倍晋三首相が、次の衆院選までの4年間の時間を獲得するための選挙であった。
安倍首相の本当の目的は、戦後レジームからの脱却である。戦後レジームからの脱却には、4年間という時間が必要だったのだ。しかし、安倍首相をはじめとする自民党の政治家たちは国民に対して、今回の争点は消費増税の延期などあくまでも経済問題が中心であり、アベノミクスへの国民の信を問うと強調した。
民主党をはじめとする野党やマスコミはこれに乗せられて、一斉にアベノミクス批判を繰り広げた。だが、国民の多くはアベノミクスに懐疑的ではあるものの、それほど強い反感を持っているわけではない。アベノミクスへの対案を示せない野党が議席を伸ばせなかったのは当然である。野党やマスコミは、まんまと安倍首相の戦略にしてやられたのだ。
私は、戦後レジームからの脱却には、4本の柱があると考える。
一つ目は東京裁判史観からの脱却だ。日本は連合国により昭和の戦争を侵略戦争と断罪され、東京裁判で判決が出たA級戦犯25人全員が有罪となり、7人が処刑された。安倍首相も昭和の戦争が正しかったとまで言うつもりはないだろう。ただ、侵略戦争というなら、ベトナム戦争やイラク戦争を起こした米国や、第2次世界大戦でポーランドやフィンランドなどを侵略したロシアはどうなるのか。こうした点を突いていくことは考えているのではないか。
二つ目は憲法改正だ。憲法は戦後に米国が押し付けたもので、これは日本弱体化政策だったとされる。米国も日本が独立したら憲法を改正すると思ったが、日本政府はしなかった。宮沢喜一元首相が私に「日本は自分の体に合った服を作るのは下手だが、押し付けられた服に体を合わせるのはうまい」と言ったことがある。自衛隊ができた後、米国は佐藤栄作首相に「ベトナムに来て一緒に戦おう」と言ったが、佐藤首相は「戦いたいのはやまやまだが、あなたの国が憲法を押し付けたから戦うわけにはいかないんだ」とかわした。イラク戦争のときも、小泉純一郎首相はブッシュ大統領を全面的に支持したが、同じ理屈で戦闘地域へは自衛隊を派遣しなかった。戦後の自民党は米国が押し付けた憲法を非常にうまく使ってきたわけだが、今後はこの方針を転換していくことになる。
三つ目は対米従属からの脱却だ。これまでは米国への完全な従属だった関係を、もう少し自立した、より対等に近いかたちに持っていく。具体的には来年以降、国会で関連法案が審議される集団的自衛権だ。現在は、日本が武力攻撃を受けたら日米安保条約により米国が救ってくれるが、米国が攻撃されても日本は助けられない。この関係を変える。
四つ目の柱は教育改革。これは教育基本法の改正や道徳の「教科化」など、もう半分手が付けられている。
安倍政権はこれからの4年間をフルに使って、これらの改革を進めていくだろう。私は4年間では憲法改正まではいかないと思うが、その基盤は作ると思う。特に2016年7月の参院選の結果次第では、自民党など改憲勢力が参院で3分の2を獲得する可能性がある。憲法改正の発議の条件である両院の総議員の3分の2以上の賛成が、視野に入ってくる。安倍政権の次の狙いはこれであり、それまでは、憲法改正を大きな声で言うことはないだろう。
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