mixiユーザー(id:14438782)

2014年12月16日00:23

139 view

『仮面ライダードライブ』

 『仮面ライダードライブ』が始まったって、いつの話だよってな話である。もう3か月ぐらいたっているはずで、すでに序盤はすぎて中盤にさしかかっている。

 でも、その前に『鎧武』である。なんとこの仮面ライダーは最終回の一つ手前でヒロインと一緒に異世界に旅立ってしまったのだった。仮面ライダーなのに。もう、仮面ライダーってなんなのでしょう。でもって最終回は残された人たちの話だったのだけれど、彼らを見守るために帰ってきた主人公は異世界の住人であることを示すためなのか、金髪のヅラをかぶっているのだった。金髪って。もう今が21世紀だったり、平成だったりすることを見失いそうなセンスである。メカゴジラを操っていたブラックホール第三惑星人の、おまえどこに住んでんだよに通じるものがある。ないか。
 しかも、この金髪が異様に似合っていなかった。このごろの仮面ライダーの主人公はジュノン・ボーイばかりらしくて、彼もいわゆるイケメンなのだけれど、でも、金髪が似合うタイプではなかった。しかも、ちょっとやそっとの似合わなさでなくて、それまでの一年間の放送を台無しにするレベルの似合わなさで、それはそれでいいオチがついたような気がして、個人的には気に入っている。
 ここ数年の仮面ライダーは、最終回に後日譚とか次のライダーへのつなぎみたいな回をかならず設けていて、なんか間延びする感じでなんでだろと思っていたのだけれど、一年やるとなると突発的なイベント(震災とか解散総選挙とか)で放送を飛ばされてしまうことがあるから、そのためにあらかじめ放送回を一話分だけ余計に確保しておくのかもしれない。
 だから、なんか間延びした最終回のあった年は平和だった、少なくとも日曜の朝に特番が組まれるようなことはなかったと、いえるのかもしれないけれど、だからどうしたと言い返されれば、別にこちらも反論はない。

 でもって、ドライブに話を戻すと、ふつう。
 主人公はいつもぐうたらしていて、事態が緊迫するとやる気を出してばりばり働くタイプだけど、この演じ分けはあまりうまくいっていない気がする。もっとも、仮面ライダーの主人公といえば演技経験の少ないかほとんどない人が担当するのが通例である以上、これはちょっと新人に荷を負わせすぎではある。いちおう、本気になったときにはネクタイをキュッと締めるという仕草を入れてわかりやすくはしているけれど、さすがにそれだけでは補いきれていない様子である。でも、ヒロインはかわいいし、生真面目で思いこみというか使命感の強すぎるところとかよく出せていると思う。
 あと、殺された仮面ライダーの開発者の意識を移植されたロボットだかなんだったかの声をクリス・ペプラーがあてているが(生前のシーンはたしか本人が演じていた)、この声がメジャーすぎて、聞こえてくると日曜の朝に仮面ライダーを見ている気分がしなくなってきて困る。売れすぎるのも難しいものだと思う。

 主人公は刑事で、上司が片岡鶴太郎である。この人は大河ドラマ『太平記』の北条高時がすごくて、かなり評判にもなっていた。本人も手応えがあったのか、かなり本気で俳優路線へ行ったのだけれど、そこでは『家裁の人』でも原作の主人公の物静かでちょっと浮世離れした感じがなく妙にむっつりと辛気臭かったり、金田一耕助を演じても硬くて余裕がなかった。入れこむとそういう顔しかできない人なのかもしれなかった。その前後だったか、ボクシングを始めたり、書道に凝ったりして、たしかナンシー関が「もっと素敵になりたがる片岡鶴太郎に鼻白む」みたいなことを書いていたと思う。
 その後、しばらくしてから軽妙な演技をするようになり、そっちは融通無碍でずっとおもしろい。『梅ちゃん先生』の隣家のおっちゃんとか。ひょっとすると、意外と不器用で一度には一つのことしかできない人なのかもしれなかった。家事とか、苦手っぽい。でも、ドライブでは変な顔芸とかやりすぎ。演出の指示だろうけど。

 でもって、『トッキュウジャー』は年末なものだから、もうクライマックスに突入している。こちらは脚本の小林靖子が靖子節全開である。この人は登場人物の心理の細やかな綾をすくい上げてちょっとしたエピソードを入れるのが本当にうまい。戦隊もののドラマパートなんて、実際にはほんの数分しかないはずだけれど、月並みなやりとりで終わってしまいかねないところに、いかにもその人物らしい台詞を一言だけでも挟ませ、それでぐっとシーンも引き締まるし、キャラクターも深まるようなやりとりをさらっと差しこんでくる。
 反面、終盤の話の締め方はあまりうまくない気がしている。どうやって終わらせるかはプロデューサーの意向も大きいだろうから、どこまで脚本家の裁量によるものか外からはわからないけど、人の思いみたいなところで全部ぶっちぎって終わらせるパターンが多すぎる印象がある。それだけ人間の気持ちというものは強いものだということかもしれないけれど、一年に渡って展開したドラマならば、もうちょっと構造なり、大きな流れに関連しないと収まりのつかない感じがする。
 お話の閉じ方は横手美智子がうまいと思うけれど、この人はふつうの会話に妙にデリカシーがなくて、なんだか聞き流せない嫌なやりとりをやっちゃうので、それはそれで味なのかもしれないけれど、日曜朝の子ども番組にはむいていなかったということなのだろう。

 『トッキュウジャー』の俳優陣はなんかみんな上手い。『鎧武』が終わってなかったころは、日曜の朝の一時間が知らない顔の若い人ばかりなのに、なんだかちゃんと全員それっぽい雰囲気を醸し出しているという、不思議なことになっていた。
 特に敵の皇帝ゼットを演じている人は初見だけれど、ニヒルで屈託があって微妙な陰影をたたえた敵役という、おいしくて演じ甲斐はあるだろうけど、えらくハードルの高い役をなんだかふつうにあっさりとやってのけている。舞台だったら、姿を現した途端に観客の視線を引きつけてしまうような、そんなオーラがあると思う。たまにそういう人がいるんである。困ったものだ。いや、困りはしないが。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2014年12月>
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   

最近の日記

もっと見る