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2014年12月02日23:36

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DL-S1のこと

つい先日までデノンの現役機種だったDL-S1です。

2002年頃、ART2000よりも後に購入しました。その頃導入したのはコントラプンクトbやAT-33Rあたりです。
DL-304の3代目が物足りなかったことも理由にあったような気がします。

当時の評価としては、音は304より明らかに上、繊細感ではヤマハMC-100と互角かというところで、性能が優秀だということはそれなりに理解できたものの、まじめ過ぎて面白みに欠ける、ロック系だと音が前に出ないということで出番は次第に少なくなりました。
後に購入したDL-302の方が気に入っていたくらいです。
リード線の交換対象にも上がることはほとんどありませんでした。
最近では出番なしのセミリタイア状態です。そんな調子ですから思い入れもありません。

これを突然引っぱり出すことになったのは、へこさんの日記の影響に他なりません。

DL-304がいきなり良くなったのだから、こちらも期待できるかな?と予感めいたものだけはありました。

リード線は当然PC-tripleC、DL-304から移動です。
ダメならまた収納箱行きですから、中途半端なもので下手な評価はしたくないところです。

音はやはりデノンの最高級機の実力を見せつけるものでした。
304にあった中域から中高域の明るさはなくなった分、フラットで落ち着いた中域になります。
高域は非常に繊細で、適度に切れ込みます。歪み感が少なく心地よい。
さらに顕著なのは低域です。低出力空芯タイプなので、押し出し感、力感は強くありませんが、非常に把握しやすく、よく「見える」低域です。

S1を聴くと304とは全域での解像度、特に低域で差を付けることが解ります。価格分の差は確かにあると思いました。

音像が前に出てこない傾向はありますが、耳当たりもよく、豊かなアンビエンスと全域での暴れや強調感のなさは、まさに大人向けのカートリッジといえるでしょう。
また音楽が冷静で客観的に聴こえるとの評価もあり、自分もそう思っていましたが、自己主張の強い機種が近年では多い中、溝に刻まれた音を忠実に色づけなく拾っていく姿勢は決して悪いとは思えません。

発売が92年、世は完全にCDに移行した時期であり、それを踏まえつつ高級CDとともに「S1」シリーズのひとつとして世に問うたことが、ようやく理解できたような気もします。

AT-ANV50を聴いてから、DL-S1の役目は終わったと勝手に思っていたのですが、とんでもない間違いだと気が付きました。
ANV50は付属のリード線を見直すか何かしないと、音楽的に現時点のS1に逆転を許した感があります。

ここまで、PC-tripleCのリード線で聴いたカートリッジが7、8機種。
そのうち激変度「特A」がジュビリーと304とS1です。
しばらくリード線を変えていなかったことも大きいでしょうが、共通するのは微妙なニュアンスを持つ機種だということ。
そのニュアンスが全開になっているようです。

F特をいくら調整しても、ガラス越しに見る景色と窓を開けて見る景色の違いのダイレクト感は埋められない…そんなことをつらつらと考えているところです。

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